ピックアップ GⅠ 名古屋 04/29
「(優勝が)ずっと信じられない気持ちで、喜び方がわからないですね(笑)」
直線での眞杉匠もからんだ落車のアクシデントを気にしてか、ゴール後のガッツポーズもなし。吉田拓矢は、ウイニングランで美酒に酔いしれることもなく、終始、周りを気にかけながら2度目のタイトルを奪取。21年11月に競輪祭でG1初制覇を果たしてからは、一昨年のオールスター決勝での暴走により4カ月の戦線離脱。「(競輪祭を)獲ってから、あんまいいことの方が少なかった」と、3年半ぶりのG1優勝には、様々な思いが詰まっていただけに、吉田らしいヒーローインタビューになった。

佐藤慎太郎
1月松阪記念の決勝で落車に見舞われた佐藤慎太郎は、骨盤骨折などの大怪我に見舞われた。復帰場所となった今シリーズは、❼着。「理想とはほど遠い状態ですよね。ただ、普通の生活ができない期間が2カ月近くありました」と、前検日に言っていたように、いつものG1とは違った。最終日は山岸佳太のカマシに乗って、伊藤旭のまくりをブロック。ゴール寸前で山岸を交わした佐藤には、多くファンが声援を送った。
「山岸がいいレースをしてくれて、お客さんが声援をくれてグッときましたよ。まだ頑張らないといけないって。ただ、脚力はゼロに近いね。前の状態に戻すのに、どれくらいかかるかわからないけど、1つずつやっていきたい。出力が下がっていて、自分の力が落ちていると感じた開催でしたね。(脚力ではなく)山岸の気持ちと、自分の気持ちで勝てました。(骨盤骨折から復帰して)この辺なのかなという気持ちが芽生えた部分もあったけど、この1着でお客さんの声援を聞いて、もう1回やろうという気持ちになりますね。(実際に走って開催に入る前に)想定してたよりもひどかった。でも、骨盤をやったら、普通は半年休む。状態もしっかり話しているし、無理はしている。もうちょっと走れるかと思ったが、そういう感じではなかった。でも、日に日に戻ってくるのを楽しみにしています」

山口拳矢
3月に練習中の落車で鎖骨骨折を負った山口拳矢は、今シリーズが復帰2場所目。地元地区の大舞台ながら二次予選で敗退も、その後は連勝で締めた。
「(右鎖骨骨折から復帰2場所目で)レースだと現状は5割くらい。(3走目までの感じだと)脚はたまるけど出ないですね。(最終日は)みんな積極的に動く選手だったので、中団から考えていた。打鐘で山崎(賢人)さんが行ってくれて、粘る選手もいなかった。それであとは自分がどこから行くかでした。感じは相変わらず悪いけど、押し切れているし、仕掛ける気持ちをもてたので良かった。鎖骨が折れて、回りがまだ痛いし、変な動きになっています。もっと体の連動性を高めていきたい」

守澤太志
今シリーズは一次予選スタートから着とまとめた守澤太志だったが、シビアな勝ち上がりの日本選手権では二次予選敗退。しかしながら、自身は兆しを感じ取っている。
「(3走目は中野慎詞が)ここっていうところで、しっかりと仕掛けてくれたんで良かった。(後ろが)もつれていたのもわかったし、和田(健太郎)さんが取り切ったのもわかった。窓場(千加頼)君がいなくなっても脇本(雄太)君がいるんで、油断しないで車間を切って来られないようにと。こんな展開は100走に1回くらいしかない。これ以上、楽な展開はないだろうし、自分じゃなくても楽だったと思う。それでも今回に関しては、だいぶ悪かった時期に比べたら良くなった。落車してズレた体のまま、うまく乗れなかった。やっと修正できて形になってきた。ある程度は、進む感覚が出てきた。落車して練習ができなくての負のスパイラルだったけど、このあと良くなってくると思う」

山田庸平
一次予選では山崎賢人を目標にワンツーで順調に滑り出した山田庸平だったが、嘉永泰斗が不発になった二次予選は自力に転じるも4着まで。最終日はラインの先頭で、まくりで白星を挙げてシリーズ2勝目。次の地元、武雄ミッドナイトG3に弾みをつけた山田には、前回の武雄記念を完全優勝からの地元G3連続Vがかかっているが…。
「(最終日は)展開有利に運べました。ただ、昨日(5日目)もそうだけど、最近、自力を出してないからキツかった。(村田祐樹の)掛かりも良かったけど、G1の(最終日の)特選でしっかりと仕掛けて、いまの力を試したいっていうのがありました。二次予選での失敗もそうですけど、最近はそういうのが多い。大事なところで勝ち上がれていない。脚力が落ちている。(次は地元の武雄でG3だけど)ミッドナイトで7車立てですからね。2、3日目の体のリズムが読めないところもあります。注目されるのはわかっているけど、あんまり期待しないでもらえると」