第13回 緊張感から作られた強い心 2018年5月23日
群馬県の気候は春と秋は最高に気持ちがいいのですが、夏と冬が非常に厳しいのです。真夏は最高気温40℃まで上がる事もあり、真冬も北風が突風となり肌に突き刺さります。今思い返すと30年程前の競輪選手はかなり過酷な状況の中で訓練していたと思います。
夏場は涼しいうちに朝練もしましたが、その後も普通に炎天下の中、山を登ったりしていました。ピストレーサーで行くのでドリンクホルダーはありません。目的地の頂上までは水分補給は出来ません。だってプロの先輩方より先に降りてなんて考えられないし、そういえば街道練習中、ハンドルの上を持つ事自体、練習を付けて頂いている身としては失礼な事だと思っていました。当時はそのくらい緊張感の中で練習していた事が懐かしく思うし、その緊張感の中でハードな練習をしていたから強い心が作られたのだと思います。
冬は冬で高校一年生の私は親に迷惑をかけたくなかったので、たくさん重ね着をしましたから、体が重く自分の体ではないような動きに苦しんでいました。シューズカバーも靴下の底にレーサーシューズのサンが出るようにハサミで切り、穴を開け2、3枚重ねて履いていました。外から見ると靴下でペダルを漕いでいる様にしか見えず、練習中休んでいると「靴履かないんですか!?」と驚いて話しかけられた事もありました(笑)雨の日はレーサーシューズの上からスーパーのビニール袋を履いて足首で縛っていましたし、新聞紙を胴体に巻き防寒対策をしながら練習をしていた事を思い出します。