第15回 笑顔で抜き去った神山選手 2018年6月2日
高校1年生もあと僅かで終わりにさしかかった頃に、埼玉県でクロスカントリーの大会が開催され出場しました。クロスカントリーはアスファルトを走るロードレースとは違い、砂利道や泥道のアップダウンの周回コースをなんとロードレーサーで走るハードなレースなのです。自転車の乗りこなしには自信があり、私は正直「楽勝でしょ!」自信満々で参加しました。現地で受付をしていると、一台のワンボックス車が入ってきました。ドアが開くと周りからザワめきが起こりました。耳を傾けてみると参加選手のあちこちから「うぉー!神山雄一郎だぁー!スゲー!」などと言いながら皆、騒いでいたのを覚えています。スラッとしたスタイルはロードレースが得意そうに見えました。私が神山雄一郎選手を初めて見た記念すべき日です。栃木県の作新学院に凄い人がいる事は聞いていましたので、生で見て感動したのを覚えています。
レースが始まり、悪路に奮闘しながらもレース序盤で早くも脱落寸前、自転車を降り山道を押して歩く羽目になりました。ハァハァしながら歩いていると、後ろから息を荒げる事なく抜き去って行った選手がいました。その選手が神山雄一郎選手だったのです。その光景が私には信じられませんでした。なんと【笑顔】で抜き去っていったのです。自信満々に参加しながら、レース序盤で一周遅れとなり実力の差を見せつけられて、私は初めて挫折というものを味わいました。それを教えてくれたのが神山雄一郎選手だったのです。