不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第23回 弱気に勝つには練習量しかない  2018年8月1日

 高校2年生のある日、レミントンサイクルの春日さんから「山梨県西湖のロードレースにエントリーするか?」と聞かれ二つ返事でお願いしました。クラスは最高位のスーパーチャンピオン。俺は思い込んだらひたすら打ち込むタイプ。あれほどダッシュ練習を繰り返したと思いきや、毎日放課後は赤城山、榛名山にロード練習に行くようになりました。ロードの自転車は変速機があるので登りも下りも楽に感じます。足を止めても進んでいるので、ピストレーサーで街道に行くより長い距離が乗れます。なので帰りは夜の9時過ぎ。そして朝は5時に起きてロード練習!学校ではしっかり睡眠の授業を受けていたので、フレッシュな日々が続いていました。
 いよいよ本番!春日さんと西湖へ行きました。会場は自信満々な選手達でごった返していましたが、体の線が細い人ばかりでした。心の中で「なんか俺だけデカイ(汗)」と思っていました。しかもロードレースの経験は前にも紹介しましたが、福島県棚倉の高校校庭のレースしかありません。経験不足は不安を煽り、周りの選手達がみんな強そうに思えました。今まで寝ずにロード練習に励んだ事だけが心の支えでした。練習は裏切らない!スタートしたらこの不安はなくなる!とスタートが待ち遠しかった事を思い出します。その瞬間は、後に俺が競輪選手となり発走の10分前!5分前!の時の気持ちと似ていたので、やはりレースは孤独との戦いなのです。自分の弱気に勝つためには練習量しかない!と確認出来た大切な経験でした。

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