不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第30回 インハイの強烈な思い出  2018年9月15日

 トラック競技はスプリントの200mTT計測から始まります。次々と上バンクからかけ下ろしタイムが発表されます。そして登場しました【有坂直樹】選手!やはり注目度が違います。俺は1センターから食い入るように見ていました。金網越しだと顔の表情が見え、真剣さが窺えます。有坂選手はどんどん勝ち上がり、圧倒的な強さで優勝。パーキングエリアでビーサンにロンパン履いてアイスクリームを舐めていた人とは全く別人でした。あのメリハリとギャップが凄いと思いました。
 俺は千mTTに出場し6位でした。納得できるタイムではないし、一回しか走らないのがつまらない。次は何回も走れるスプリントに出場しようと思いながら、リーゼントの髪型を整えてダラダラ行くと、5位の選手がまだ来ていないようでした。俺も6位ではめんどくせぇし、恥ずかしいだろ!とかブツブツ言いながら表彰台まで行ったのに、まだ来ない奴がいたのです。「鈴木健選手!召集まで!」と何回も放送が流れていました。ん?岐阜県の鈴木健?俺より遅く来るとは太てぇ野郎だ!と暫く待ちました。すると体の大きな俺よりデカイ鶏冠のリーゼントがやって来て5位の表彰台に上がりました。隣で顔を見ると「うわっ~やっべぇ~めちゃめちゃ怖いやん!」本当に高校生かと思う程でした。有坂選手とは違う意味で「上には上がいるんだなぁ~」としみじみ感じました。1つ上の秋田県・有坂直樹選手と岐阜県・鈴木健選手。高校生2年生のインターハイでは強烈な思い出となりました。

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