不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第38回 大きな励みができる  2018年11月10日

 部室が異様な静けさの中、ひとりが俺の顔を見るなり「私、先輩の事知ってます!」と。俺は前橋市の中学校で、その女子生徒は高崎市の中学校。朝礼や放課後に出没する俺の顔を覚えていた様です。中学校の頃、高崎市や前橋市の中学校を制覇し統一しようと、ご挨拶回りによく出かけていた事を思い出しました。その時の俺を覚えていたらしく、自然と会話が弾みました。俺はその時から「コイツだ!」と心に決めました!その瞬間からヤル気スイッチが入り、毎日学校に行くのが楽しみになりました。部活で競輪場に行ったときも、カッコイイ所を見せたいので、弱い選手を先にもがかせ、大きく車間を空けて一気に捲る事ばかりやっていました!今思うと、車間の間合いや詰め方だったり、トップスピードの練習になっていたと思います。偶然にもその子と自宅が同じ方向だったため、一緒に帰る事もありました。俺の中に大きな励みができました。
 日に日に力が付き、県内大会スプリントで前橋工業の山田高志選手(元65期)を下し優勝し関東大会へ。その時、特に強かったのは茨城県取手一高の朝秀忠選手(現68期)でした。そしてインターハイ、兵庫県明石自転車競技場です。俺はスプリントで優勝を目指しました。福岡県に天才スプリンター(高田誠選手・現65同期)がいると情報が入りました。ハロンから雰囲気をチェック!なんか強そう!そして警戒しなければいけない選手は三重県の海田和裕選手(元65同期)。豪快な乗っぷりが強そう!一気に緊張感が高まります。

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