不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第45回 また火花散らす児玉選手  2019年1月1日

 高校3年生での全国大会の成績はインハイ3位・都道府県大会優勝!・国体優勝! 念願だった日本競輪学校第65回生の受験を技能免除、一次試験をパスできました。次は二次試験の学科です。そこで落ちたら、技能免除になれたアドバンテージを無駄にするばかりか、学科で落ちたことが分かってしまう。非常に恥ずかしい思いをすることになるので、絶対に合格するという目標が生まれました。
 家庭教師を付け、人生初の俺の猛勉強が始まりました。1日8時間以上勉強する日もありました。不思議なものであれだけ苦手だった勉強が、問題が解け始めると次第に面白くなり、あっという間に時間が過ぎるようになりました。小中学校の授業中に遅い時計の秒針を睨みつけていた頃を思い出すと、なんて無駄に苦痛な時間を過ごしていたんだ!と少し後悔したりもしました(笑)。
 二次試験は日本競輪学校で行われます。憧れの地に足を踏み入れただけでワクワクが止まりません。全国各地から多くの受験生が集まり、なんだか皆、自信満々に見えます。全国大会を戦ってきた現役高校生の俺達に、社会人や大学卒の方も多くいました。そして再び事件が!都道府県大会で俺にスプリントで敗れて因縁を付けてきた香川県・児玉広志選手の姿も見られました。児玉さんは俺を見るなり近寄って来て「決着つけに来たわ!」と言いながら、ずっと俺のことを睨みつけていました。児玉さんは負けた悔しさと、勝負に対する執念は誰にも負けなかったのだなぁと。今でも忘れはしません。

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