不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第59回 最悪だった雨の日のレース  2019年4月20日

 競輪学校は午前中が学科授業です。競輪は自転車競技法という法律の中で行われます。そして、たまに試験がありました。試験の点数が悪い順に前の席になります(笑)。なので、自分や仲間の成績が大体分かってしまうシステム。65期のポールポジションはいつも○○さんでした(笑)。私は真ん中より後ろでした。でも、卒業の時の資格検定までに自転車競技法を覚えてしまえば良い事なので、たとえポールポジションでも問題ないと思うのです。
 話しは変わり午後ですが、誰にも負けたくない俺は昼飯の頃から緊張感が出はじめます。猛暑の日も、寒い雨の日も、競走訓練は続きます。最悪なのは毎レースユニホームを使い回す事です。俺は少しだけ潔癖症でした。汗をかいたユニホームをレースが終わると一つのカゴへ入れるのです。そして次のレースを走る生徒が番組表を見て自分の色の車番を取り出します。真夏の汗でベチョベチョなユニホーム、中には臭いのキツイのもあります。最悪なのは雨の日のレース!我々の時代のユニホームは、生地が殆ど毛糸で出来ていて、しかも半袖!問題はその生地です。雨が降ると水分を吸ってしまいめちゃめちゃ重い。レースが終わりカゴに入れると、雨水が他のユニホームに付いてしまい臭いが移る最悪の事態が訪れるのです。教官は怖いのでユニホームは選べません。そのユニホームを手にしてしまった生徒はもう笑うしかない!私は手品師の手元を見る様にレース後にはそのユニホームの行方を追うばかりでした(笑)。

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