不撓不屈・ボスの自転車人生

不撓不屈・ボスの自転車人生

後閑 信一 後閑 信一 ごかん しんいち 元競輪選手  平成2年4月に65期生としてデビュー。落車による大ケガや数々の困難を不撓不屈の精神で克服。第46回競輪祭、第15回寛仁親王牌、第56回オールスターとG1で3V。面倒見いい親分肌と風貌から〝ボス″と称された。平成30年1月引退。通算成績は2158戦551勝、2着311回、3着255回。

第89回 関東3車で競り合う  2020年2月13日

 私は神山雄一郎選手の走りを真後ろから魅せられ、神山選手の2番手は絶対に譲らない!と執念を燃やしました。何故か?というと、これは私の売り出すターニングポイントだ!と必死に神山選手に食らいつきました。宇都宮全日本選抜2日目優秀競走。神山雄一郎選手の後ろで東京都・山口健治選手と埼玉県・伊藤公人選手と私の3人で競り合う事になったのです!顔見せでの3車並走は痺れました!お客さんの声援も物凄いものでした。山口健治選手としては関東のドン!として当然な位置。伊藤公人選手はそろそろ番手を主張してもいいのではないか!と勝負師の闘志がみなぎっていました。私は同県の先輩、高橋光宏選手が付いて下さったので今後の自分の走りを見せたかったし、名マーカーの高橋光宏選手も私の考えに賛同して下さり、背中を押して下さいました。今後の関東はこのレースを機に【神山―後閑】ラインを全国へアピールしてこの並びを不動のものにしていきたい!という想い、私は大先輩を相手に胸を借りるつもりで挑みました。
 それぞれの想いが重なりレースはスタートしました。関東は神山雄一郎選手の後位を巡って入れ替わり立ち替わり関東3車がジカで競り合いました。別ラインでは吉岡稔真選手の後ろで小橋正義選手と児玉広志選手が競り。同じレースで2つのラインが競り合う光景は、当時はあまり珍しくありませんでした。そして当時の宇都宮競輪場は現在とHSとBSが逆でしたので、お客さんのたくさんいる金網越しでは、打鐘で関東ラインと西のラインが激しく競り合う姿が繰り広げられました。打鐘から吉岡選手が前を取った神山選手を抑えてゆっくりと先行態勢に入りました。すると単騎の高谷雅彦選手が先頭に立ちます。するとそこへ山口健治選手が乗り換え高谷―山口で最終HSを通過すると共に神山雄一郎選手が巧みにスッと3番手に下げて位置を確保!さすがです。私は体を伊藤公人選手に当ててダッシュ!一度は神山雄一郎選手の後ろを取り切り最終BSを通過しました。そして後方から捲くってくる吉岡選手に煽りを入れると、いつの間にか伊藤公人選手が私の内側に入って来て、私は吉岡選手ラインの間に挟まる形になってしまいました。私は車を下げざるをえませんでしたが、私の執念は引いた瞬間、最終3コーナーに入ると、私はすかさず車輪を抜き再度、伊藤公人選手の内側にコースを取りました。結果、関東の戦いは私が取り切る形になりました。
 そしてゴール勝負では1着には神山雄一郎選手。2着には吉岡稔真選手。両横綱のワンツー。そして私は3着かと思っていましたが、小橋選手とのハンドル投げで私が4着でした。集中できて頑張れたレースだっただけに充実感はあるが、悔しさも残る戦いでした。しかし、更に私のマーカーとしての競る楽しみと奥深さに魅せられた2日目の優秀レースでした。次は準決勝です!

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