• 名古屋競輪場開設68周年記念金鯱賞争奪戦・楽天カップ3/1〜3/4

後記 GⅢ 名古屋 03/01

吉田敏が2度目の美酒

吉田敏洋

吉田敏洋

 仲間の力と、地元エースの責任感で勝ち取ったV。ミス東スポグランプリの祝福を受ける吉田敏洋選手。

 2月の全日本選抜で落車し、続く静岡記念を欠場。前検日の「もう少し時間が欲しかった」という言葉が吉田の本音だった。不安な体調面をカバーしたのは仲間の力であり、地元記念にかける吉田の精神力。「嬉しいっすね。前回よりも嬉しい」と話す目は少しうるんでいた。
 「今回は(地元記念を)獲るためにこうしなきゃ。4日間、それを貫けた。和也が決勝に上がってきて、決勝の並びも正直迷ったけど、獲るためにどうするかを考えて。浅井が頼もしかったね。あのユニフォームに相応しい男でした」
 打鐘で高橋が叩かれると、浅井がホームから巻き返す。しかし、そこには当然のように村上の抵抗が待っていた。
 「1コーナー、2コーナーは絶対に村上さんが来るところ。浅井が無理やり行くのは分かってたし、そこが勝負だと思ってた。あおりで共倒れではね。一番キツいところを冷静に回れたのがよかった」
 2度目の地元記念を制した達成感はある。しかし、「今まではここでホッとしてたけど、今は最終目標じゃない。次の目標に向けて」と勝利の余韻にひたるつもりはない。次のウィナーズカップから再び中部一丸となった頂点を目指す戦いがはじまる。
 単騎の松浦は吉田に続く絶好の流れになったが逆転はならず。
 「最後はトシ(吉田)さんのペースにはまった。地元のパワーですね。吉田さんが踏んだ瞬間は抜けると思ったけど…。あそこまでいくと悔しいですね」
 3着の菊地だが口を突くのは自分自身へのいらだちばかり。
 「言うことはないですね。(松浦は)ずっと勝負どころでフワフワしてたから、しゃくっとけばよかった。連日の村上さんを見てると合わせるのかなと思ったし、2コーナーで前が浮いてるときも内、外どっちに行くか迷ってしまった。全部、人任せ。いい着を取ってもモヤモヤ感が残る。ダメっすね」
 吉田を勝利に導いたのは最終ホームから仕掛けた浅井の気迫だ。
 「無理やりだったけど、あれしかないでしょう。村上さんはサラ脚で(番手から)出てくるのは分かってました。村上さんじゃなければワンツーだったかも。いいもがき合いができて楽しかった」

Race Playback

レース展開1

レース経過

誘導員 : 笠松信幸

 初手は山本―村上―成清、菊地―成田、単騎の松浦、高橋―浅井―吉田の並びで周回を重ねる。 高橋が青板の2コーナーから上昇。3コーナーで誘導員を下ろし勢いよく飛び出す。この動きに松浦、菊地ラインも続く。山本は7番手に下げたが、赤板から一気に踏み込む。抵抗する高橋から打鐘で主導権を奪い返した。目標の余力を見極めた浅井は、成清後位にスイッチ。最終ホームから踏み込むが、村上から再三のブロックを受ける。すると、浅井マークの吉田が2コーナーから自力に転じて大外を進む。番手から踏んだ村上と浅井の争いを横目に、3コーナーで先頭に躍り出た。そのまま力強くゴールを目指すと、続いてきた松浦の追撃も振り切って優勝。松浦はゴール前で迫ったが、あと一歩及ばず準V。

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