• 第3回 ウィナーズカップ3/21〜3/24

後記 GⅡ 大垣 03/21

日本のエース脇本雄太が圧巻V

脇本雄太

脇本雄太

 20代最後の年となった昨年に念願のタイトルホルダーとなった脇本雄太。シリーズの初日に30歳のバースデー迎え、自らを祝う圧巻のパフォーマンスでG2初Vを飾った。
 東京五輪を来年に控えた日本のエースは、ナショナルチームでの活動もあり、これがグランプリ以来となる今年の初場所。
 「フィーリング的にはいい感じですけど、休みすぎたんでレース勘、持久力の部分で不安が残っていた」との初日だったが、終わってみれば着。今シリーズから投入した新車が、パワーアップした脇本の肉体とマッチ。連日、異次元のスピードを生み出していた。
 「(優勝して)ホッとしたのが8割ですね。それだけ自分自身も人気になってるっていうのをオッズを見てもわかってますし、それに応えないといけないという不安もありました。自信はありましたけど、レースにならないとどういう展開になるかもわからない。今回それがうまくいって良かったなって思います」
 想定内の8番手で打鐘を通過した脇本だったが、2センターで6番手の山崎賢人が仕掛ける。山崎ラインを追った脇本がその上を楽にまくって浅井康太との一騎打ちに持ち込んだ。
 「今節の4日間のなかで、この決勝が一番、自分のなかで展開が向いたなって思います。(山崎が)行った時には自分の仕掛けるタイミングとまったく同じタイミングだったので、そこがすごい運がいいなって」
 初日から村上博幸、三谷竜生、山田久徳と近畿の超一流選手たちが、脇本の踏み出しに苦心するなかで、浅井がきっちり続いて直線で忍び寄る。しかしながら、脇本のスピードは鈍ることなく、4分の3車輪凌いでゴールを先頭で駆け抜けた。
 「勝てる自信もあったし、(昨年の)競輪祭と違って今度は僕が粘る番だと」
 競輪祭の決勝では3番手の浅井に逆転を許したが、進化を証明するように押し切りVを遂げた。
 「オリンピックに向かったシーズンがまた始まるので、またその時に体を仕上げていきたいと思ってます。(競輪に使う)自転車に関しては、現状ですごい満足してる。まだ体の方は鍛えられるので、そこをもっともっと鍛えていきたい。(今後は)しばらく(4月末の)ダービーが終わるまでは国内で練習を積み上げて、また5月の終わりから(競技の)大会があると思うので、そこに向けてしっかり仕上げようと思ってます」
 シリーズで唯一、土をつけた準決の山崎も展開のアヤによるもの。絶対的な脚力で抜けた存在なのは、誰もが認めるところだ。脇本を中心に回っていく輪界。短走路が舞台の松戸ダービーで、3度目のタイトル制覇の期待は自ずと高まる。
 今シリーズただひとり脇本に付け切った浅井康太も収穫があった様子で口を開く。
 「前を取らなかった時点で、ワッキー(脇本)には楽な展開でしたね。(差せなかったのは)残念ですけど、まずは付いていくことだったし。まくりに付け切れたのは良かった。これと同レベルは、深谷(知広)、新田(祐大)ですし。もうちょっと脚力を強化して、抜くことをやれたら」
 目標の渡邉雄太が山崎に叩かれ脇本にも行かれると、郡司浩平が最終2角から自力に転じる。が、前が遠かった。4車身離された3着がやっとで、こう振り返る。
 「(渡邉)雄太もいいペースで駆けてたけど、(山崎の)スピードが違った。そのあとは申し訳ないけど、自分で行かなきゃ1、2着はないと思って行った。でも、結果的には追いつかなかった。共倒れするよりはと…」
 南関勢を受けて4番手を手に入れた太田竜馬だったが、そこから思惑通りにはいかず、最終バックでは後方に陥った。
 「先に切って、脇本さんを後ろに置いてと。それで前が駆けるという展開と思ったんですけど。思い通りにいかないですね。脇本さんは強すぎますね。(脇本には)S級の上がある感じです。ステージが違う」
 緩んだところを叩きにいった山崎賢人は、8着に沈んだものの果敢に攻めた。結果的に脇本を引き出す流れをメイクしたが、真っ向勝負は評価を下げるものではない。
 「前(南関勢が)駆けなければ、行くと決めていました。脇本さん待ちよりも、力勝負をしようと。残り1周で仕掛けて、あんなに早く(脇本に)行かれるとは。振ったけど、止まらないですよね。力不足を感じました」

Race Playback

レース展開1
浅井康太選手とのマッチレースを制した脇本雄太が、昨年のオールスター、寬仁親王牌に次いで3度目のビッグ制覇

レース経過

誘導員 : 永井清史

 佐藤慎太郎がスタートを取り、目標の山崎賢人を迎え入れる。初手の並びは山崎-佐藤、太田竜馬-松浦悠士、脇本雄太-浅井康太、渡邉雄太-郡司浩平-中村浩士の順で落ち着き、周回を重ねる。 青板の2センターから渡邉がゆっくり上昇。この動きに合わせて太田が3番手から動いて先に切る。そのうえを渡邉が叩いて先行態勢を取るが、6番手となった山崎が打鐘の3コーナーから反撃。ホームで渡邉を叩いて逃げる。このラインを追いかけた脇本は2コーナーからまくる。瞬く間に前の2人を抜き去り、続いた浅井と一騎打ちの態勢。浅井の追撃を振り切った脇本が通算3度目のビッグ制覇を果たした。懸命に続いた浅井が2着に入り、渡邉マークから2コーナーで自力に転じた郡司が3着に食い込んだ。

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