• 第1回大阪・関西万博協賛競輪6/10〜6/13

後記 GⅢ 福井 06/10

5度目のG3制覇は番手から

柴崎淳

柴崎淳

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 単騎が4人もいる決勝。波乱の余地もあったが、フタを開けてみれば吉田茂生ががつくり出したハイペースに単騎勢は置いていかれ、人気を分けた柴崎淳と野田源一、2人のゴール勝負に持ち込まれた。番手まくりで合わせ切ったはずの野田が、直線で再び詰め寄る。が、優勝を確信できるだけの着差で、柴崎が野田を退けた。
 「前回(岸和田)、踏み負けているんで、そういう思いもあってなんとか勝ちたかった。最後の残り半周、脚じゃなくて気持ちだけでした。(野田には)絶対に負けたくなかった」
 直前の岸和田F1シリーズ。そこでも吉田とタッグを組んだ決勝は、野田のまくりに沈められ、辛酸をなめる3着に沈んでいた。野田はその岸和田からの連勝を5まで伸ばして、今シリーズも無傷の優出。F1からG3にグレードを上げて、直後のシリーズで巡ってきたリベンジのチャンス。スマートな印象の柴崎は、珍しく気持ちを前面に出した。
 「今日みたいに中部の後輩が頑張ってくれて、自分が(番手から)出る形でのグレード(を優勝するの)は初めてなんで、うれしかったですね。僕も若い時は果敢にいってんで、それが生きたのかなと。(吉田は)頼もしかったし、そのためにもなんとか1着を取らないとっていう思いだった」
 通算5度目のG3優勝。過去の4回はすべて中部ラインの先頭で優勝をもぎ取っていたが、5度目は後輩がチャンスメイク。吉田の思いを無にするわけにはいかなかった。
 「階段を1つずつのぼっていって、G2、G1だと思う。そこ(G1優勝)は変わらないですね」
 昨年9月の共同通信社杯で落車に見舞われて、腰椎骨折の大怪我を負った。3カ月以上のブランクを余儀なくされ、12月の平塚グランプリシリーズで復帰。そこからおよそ半年、一昨年11月以来となるG3優勝も柴崎にとっては通過点でしかない。
 「G1(優勝)ですね、その時こそ、自分をほめたい」
 タイトルを手にするその時まで、感慨にひたる時間はしばらく取っておこう。

 スタートで飛び出した野田源一は、前受けから中近3車に出られて4番手をキープ。最終2コーナー手前から好スピードで迫ったが、柴崎をとらえるまでには至らず、初のグレース優勝を手中にすることはかなわなかった。
 「(中近ラインのところで)粘ろうと思ってたんですけど、気づいた時には遅かった。3車出切られた。そのあとも吉田は早めに行ってるから、どこかで緩むかと思った。でも、緩まなかったですね。それでもいい位置からまくれているんで、(優勝できなかったのは)力不足。また、チャレンジします」

 番手まくりの柴崎の加速力に、地元の鷲田佳史はわずかに遅れる。野田が柴崎を追いかけ、直線で鷲田とからんだ合志正臣は、なんとか3着に入った。
 「(野田のまくりは)結構、いいスピードだったけど、(柴崎)淳はあれを合わせるんだから。(連日セッティングの調整をして、最終日の)今日が一番最悪だった。結果的には初日が一番良かったかな。来期からがS1なんで、そこからがまた勝負です」

Race Playback

レース展開4
柴崎淳選手が番手まくりで、野田源一選手を合わせて優勝。野田選手は2着、3着に合志正臣選手が入る。

レース経過

誘導員 : 田中俊充

 大外枠の野田源一がスタートで出て正攻法の位置に入る。野田-合志正臣、磯田旭、吉田茂生-柴崎淳-鷲田佳史、渡部幸訓、小林大介、池田良で隊列は落ち着いて周回を重ねる。 青板バックで8番手から動いた小林が吉田の前に入って赤板。吉田は5番手に下げた後、1コーナーからダッシュ。2コーナーで野田を叩いた吉田が先手を奪う。単騎勢は反応が遅れて、野田もすんなり4番手を確保。吉田がハイペースで駆けて一本棒の隊形で最終ホームを通過すると、2コーナーから野田がまくりで反撃に出る。しかし、待ち構えていた柴崎はバック手前で野田をブロックして番手まくりで応戦。内の鷲田は遅れ気味で柴崎と口が空き、野田が柴崎の後位に割り込んで直線へ。ゴール前で野田も詰め寄ったが、振り切った柴崎がV。激しかった3着争いは、鷲田との踏み合いを制して合志が入った。

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