• 岸和田競輪場 第73回高松宮記念杯競輪6/16〜6/19

後記 GⅠ 岸和田 06/16

単騎まくりで地元G1制覇

古性優作

古性優作

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 ゴールした瞬間、純白に輝くグランプリユニフォームの右手が上がった。そして人差し指を岸和田の空に突き上げて、地元ファンにナンバーワンをアピールした。
 「脚見せの時から(ファンの)声援もすごかった。ジーンとくるものがあって、これ優勝したらたぶん泣くやろなって思った。けど泣かなかったですね。泣くって言うよりヨッシャーって感覚が強くて、泣くのこえましたね(笑)」
 昨年8月にオールスターで初戴冠。年末のグランプリを制して、今年の2月には全日本選抜を優勝。2個のG1タイトルにグランプリを携えての凱旋シリーズ。はかり知れない重圧がかかるなか、ラインの力で決勝にコマを進めた。
 「このG1(高松宮記念杯)だけ唯一、決勝に乗ったことがなかったですし、いままでカラ回りをしていた。決勝が最低限の目標だと思っていたので、なんとかスタートラインに立てた」と、準決のあとに振り返った。
 地元、初のG1は15年の高松宮記念杯。そから昨年まで5回の地元G1で決勝は遠かった。しかしながら、今年は違った。1つ1つの積み重ねが古性優作を大きく成長させ、グランプリを獲った時と同じ単騎の決勝にも心が揺れることはなかった。
 「展開が向きましたね。(初手は)ちょっと思ってた位置取りじゃなかったんですけど、あそこ(福島勢の後ろ)から組み立てればいいかなと。流れに身を任せてって感じでしたね。(最終2コーナーからまくったが)もう行くしかないなと。無理やり行っただけ。感覚もすごい悪かったですし…」
 打鐘手前から仕掛けた小松崎大地が、最終ホームで主導権を奪って駆ける。しかしながら、郡司浩平が飛び付いて後続はもつれる。単騎で後続に食われるリスクも恐れることなく、古性は最終2コーナー過ぎから踏み出した。逃げる小松崎を4コーナーでとらえて先頭に立つと、あとは気持ちだけ。すんなりと続いた山田庸平に差し込ませることなく、1車身の差を守ってゴールを駆け抜けた。
 「今回に関しては初日は(野原)雅也が頑張ってくれましたし、2、3日目と岡崎(智哉)さんがすごい頑張ってくれました。本当にラインのおかげで決勝戦に乗せてもらった。自分は力を一滴も残さず、出し切るだけだなと思っていた。(グランプリチャンピオンジャージの)1番車としての責任はいまのところ果たせてるかなと。状態が良くないなかでも、なんとか踏ん張れたかなと思います」
 完調でなくてもG1を勝ち切る底力。全日本選抜に続いて脇本雄太不在のシリーズで、近畿の大黒柱としての責務を全うした。
 「脇本さんがいない時に、どういう結果を出せるかっていうのが求められていると思う。もちろん、脇本さんがいたら(近畿の)戦力が思い切り上がるんですけど、脇本さんがいない時にどんだけ結果を残せるか。そこで優勝ができなかったら脇本さん頼みになってしまいますし、結果が残せて本当にうれしかった」
 この優勝で今年の獲得賞金も脇本に並ぶ1億円超え。近畿の2人がいまの輪界の中心にいる。
 「要所、要所でいい成績が残せているので、いまのところ100点かなと思ってますね。(これからも)僕が1着を取れるようなレースをして、それを抜いたら追い込み選手が1着みたいな安定感ある走りができるのが一番理想。ただ、今年に関してやっぱり1着回数も少ないなと思いますし、まだまだ力がないなかなと」
 理想の“古性優作”像にはまだ遠いが、地元ファンの声援がその高みへのぼる古性の背中を押してくれる。

 いったんは押さえて出た山田庸平だったが、赤板2コーナー手前で郡司に内から盛り返されて最終ホーム過ぎに九州勢は後方。古性のまくりに流れ込んだものの、2着のレース内容を反省する。
 「郡司さんが前だったので、突っ張られないようにって勢いをつけて切りに行ったんですけどね。突っ張られて、引くのも遅くなった。結果的に(古性の仕掛けを)アテにした感じですね。たまたま流れ込んだ感じ。古性君にラインがあったら自分で行かないと厳しかった。しっかりと脚力をつけていかないと」

 九州ライン3番手の園田匠は、最終バックで9番手。そこからコースを探して、最後は山田と荒井崇博の間を伸びた。
 「荒井さんが踏んだコースの反対を踏もうと思っていた。でも、古性君が強かったですね。九州も盛り上がってきている。あともう1個ってところですけど、(ラインの)3人で2、3、4着なんで。しっかりとこの状態を保てれば勝負できると思う」

Race Playback

レース展開4
 単騎でまくった古性優作選手が地元で優勝。古性選手を追った山田庸平選手が2着に入り、中のコースを伸びた園田匠選手が3着。

レース経過

誘導員 : 中澤央治

 号砲が鳴ると諸橋愛、成田和也、荒井崇博が飛び出すがスタートを取ったのは諸橋。郡司浩平-諸橋が前を固め、その後ろは小松崎大地-佐藤慎太郎-成田の福島勢。単騎の古性優作は6番手、山田庸平-荒井-園田匠の九州勢が後攻めとなった。 赤板前の2センターで山田率いる九州勢が上昇を開始する。赤板で山田が郡司に並びかけると郡司も踏み込む。一旦は山田が前に出かかったが、郡司が内から盛り返して先頭に立つと、小松崎がスパートしてジャンが入る。気づいた郡司も応戦するが、最終ホームで小松崎が主導権を奪った。すると郡司は番手に飛びつき、小松崎の後ろはイン郡司-諸橋、アウト佐藤-成田で並走に。その後ろは単独で古性、そして九州3車が続く。小松崎の後ろの競りはなかなか決着がつかず、最終バック手前で古性が仕掛ける。古性は好スピードで前団に襲い掛かり、4コーナーで小松崎をまくり切った。古性の脚勢は直線でもまったく衰えず、古性のまくりに続いていた山田を寄せ付けず高松宮記念杯初Vを達成。山田が2着で、直線で鋭く伸びた園田が荒井を交わして3着。

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