• 佐世保競輪場開設72周年記念九十九島賞争奪戦7/23〜7/26

後記 GⅢ 佐世保 07/23

番手まくりで記念初V

山田庸平

山田庸平

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 中川誠一郎が制した18年の宇都宮記念から数えること9回目のG3決勝。その時は準Vだった山田庸平が、今度は番手できっちりとチャンスをモノにした。
 「(G3初優勝は)そこまで意識してなかった。通過点と思ってやってきた。その結果、優勝できたんで良かった」
 一昨年10月の寬仁親王牌で初めてG1の決勝の舞台を踏んだ。そして通算3度目のG1ファイナルとなった今年6月の高松宮記念杯では2着。タイトルが手に届くところまできていた。
 「自分は力がないので、一戦、一戦しっかりと積み上げていく。そこを何年もやってきた」
 デビュー15年目に突入した山田に、地元地区の記念シリーズでチャンスが巡ってきた。郡司浩平の当日欠場により8車立て。伊藤信が単騎で実質先行1車のメンバー構成だったが、中川誠一郎は主導権取りに迷いがない。いったん切って出た和田健太郎が九州勢を受けて、中川が駆ける。最終周回では山田に盤石の態勢ができあがった。
 「(井上)昌己さんまで付いてきてたんで大丈夫かなと。ビジョンを見てたので、(伊藤が仕掛けてきたのも)わかってました」
伊藤を合わせるように、5番手の守澤太志がまくりで襲い掛かる。守澤の勢いを確かめた山田が、最終バック手前で番手まくりの選択をした。
 「(守澤が来たのが)わかった。昌己さんに番手を回してもらったんで、チャンスがある仕掛けをしないとって、早めに踏んだんですけど」
 守澤を合わせて番手まくり。井上とのゴール勝負かに思われたが、守澤は井上をキメて山田にひたひたと迫った。
 「(最終)4コーナーで(後ろが井上ではないのに)気づいた。(番手から出るのが)早すぎても、遅すぎてもダメだし難しかった。ただ、自分はすんなり(番手を)回ってたんで余裕はありました」
 直線に入り守澤が外に持ち出すも、山田との差はつまらない。山田が先頭でゴールを駆け抜けた。
 「(4月の)武雄記念くらいからレースを走ってて、(調整が)うまくいかなくて修正をした。(前回から中3日の)短い期間だったけど、調整したのが良かった。昨日(準決)、いいレースができたのが自信になりました」
 準決は俊敏な立ち回りからまくりを繰り出し、“らしい”走りで地元の井上とワンツー。決勝につなげた。現在のところ獲得賞金ランクは7位。初のグランプリ出場も視界に入っている。
 「もし仮にグランプリに出られたとしても、力がないので(S級S班の)来年がキツいなじゃないかと。それ踏まえて脚力をつけたい。昨日とか初日の郡司君みたいに。脚力が違うんで、そこを(目指して)やっていかないと。でも、ちょっとずつ結果が出ていると思います。いつも中川さんに引っ張ってもらっているので、自分が前でやれるくらい強くならないと」
 あくまでも通過点。九州を引っ張る力をつけたその先にグランプリがある。

 周回中は4番手を和田健太郎と取り合った守澤太志は、和田健が切って出たあとに九州勢が主導権を握ると5番手で態勢を整える。最終2コーナー手前から仕掛けたが、山田に合わされて井上をキメてスイッチ。2着に流れ込んだ。
 「(周回中は)引く気はなかった。そのあとは(4番手に)追い上げてもいいけど、それじゃ勝負にならない。自分のタイミングで(仕掛けて)行くしかなかった。(合わされたあと井上の横には)地元なんで、できれば行きたくなかった。記念の決勝で自力でやって、(ラインんも和田圭と)2、3着ならやった方でしょ」

 守澤マークから3着に流れ込んだ和田圭が、守澤の動きに脱帽してこう振り返る。
 「(守澤に)感動した。守澤の出が良かったんで、行っちゃうかと思った。自分との力差を痛感しました。新田(祐大)も頑張っているし、自分ももっと練習しないと」

Race Playback

レース展開4
 先行策の中川誠一郎選手マークの山田庸平選手が番手まくりでV。後位に踏み上げた守澤太志選手が2着に入り、和田圭選手が3着。

レース経過

誘導員 : 西田将士

 郡司浩平が当日欠場となり8車立て。号砲が鳴ると井上昌己、守澤太志、伊藤信が飛び出すが井上が誘導員の後ろを占めた。中川誠一郎-山田庸平-井上の九州勢が前を固め、その後ろはイン守澤、アウト和田健太郎で並走に。以下は和田圭、伊藤、杉森輝大となった。 赤板を迎えても動きはなく、九州勢の後ろは相変わらずイン守澤、アウト和田健で併走のまま。1コーナーで和田健が踏み上げ、2コーナーで中川を押さえて先頭に立つ。中川は抵抗せずに下げたが、すかさず巻き返しを図る。打鐘の2センターで中川-山田-井上が主導権を握り、その後ろに和田健が入る。以下は守澤-和田圭、伊藤、杉森の一本棒で最終ホームへ。 8番手から伊藤がスパートするが、1コーナーで守澤のけん制を受けて失速。伊藤を止めた守澤は、そのまま前団に襲い掛かる。バック手前から番手の山田が自力に転じるが、守澤が好スピードで前団に迫っていて、山田の後ろはイン井上、アウト守澤で併走になった。2センターで山田が先頭に躍り出ると、井上を決めた守澤が続き、山田、守澤、和田圭で最後の直線に入った。山田の脚勢は最後まで衰えず、守澤を楽々振り切ってG3初V。守澤が2着で、続いた和田圭が3着。

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