• 平塚競輪場 第77回日本選手権競輪5/2〜5/7

後記 GⅠ 平塚 05/02

G1初ファイナルで戴冠

山口拳矢

山口拳矢

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 ゴールした瞬間、とらえた手ごたえはあった。ただ、最後まで冷静だった。山口拳矢が優勝を確認するまでに半周の時間を要した。
 「最後は(清水裕友を)差したかなって思ったけど。勘違いのガッツポーズは恥ずかしいんで(笑)。モニターに(自分の姿)が抜かれた時に確信しました」
 ゴール後のバック付近では右手を高々と挙げて、人差し指を立ててナンバーワンをアピールした。
 「ちょっと信じられない気持ちが大きい。自分がG1で優勝できた衝撃が大きすぎて、感動とか、自分の感情が追いついてないですね」
 デビューから約2年11カ月でのタイトル獲得。初めてのG1ファイナルのキップをつかんだ今シリーズだったが、予感めいたものはあった。
 「なんとなくですけど、(一昨年9月に優勝した)共同通信社杯の時みたいに、イケそうな。ただの予感ですけど、そんな感じがした」
 自身の直感を信じながらも、あくまでも立ち回りはスマートだった。中四国勢が主導権を握り、脇本雄太は大方の予想通り後方。単騎の山口は、北日本勢を後ろにおく4番手を選択した。
 「あの並びになった時点で犬伏(湧也)君が主導権を握るかなと。その後ろから(清水)裕友さんも出ていくタイミングがうまい。そこを見てからと思ってました」
 逃げる犬伏との車間を詰める勢いで、清水が最終2コーナー過ぎから番手まくり。清水、香川雄介の2人を射程に入れて外に持ち出した山口だったが、切り替えた佐藤慎太郎の中割りで内側から当たられた。
 「裕友さんが出ていったのが見えた。あとはかぶる前にと。意外と踏んだ感触が良くて、いいところまでいけるかなと。そしたら(佐藤)慎太郎さんに当たられてスリップしたんでどうかなと」
 外に膨れてポジションを落とした山口は、直線の入口は外の4番手。しかしながら、態勢を立て直して踏み込むと、目の覚めるような伸びで突き抜けた。
 「(父の山口幸二が98年にオールスターを優勝したのが)30歳だったんで、自分もそれまでにと思っていた。それが達成できて良かった」
 父、山口幸二(62期、引退)よりも早い20代でのタイトル奪取。しかしながら、山口幸二は98年、11年と2度のグランプリ制覇。父子でのG1制覇を遂げた山口にとっては、初となる父子でのグランプリVも視界に入ってきている。
 「グランプリ(出場)が確定したんで、そこを優勝できたら一番いいですね。でも、あんまり目標が先すぎても、計画を立てるタイプではない。F1もそうですけど、走りながらうまいこと調子を維持できたらいいのかなと」
 11年に父がグランプリを獲った思い出の平塚でダービー王に輝いた。今年、年末のグランプリの舞台は立川。98年に父がグランプリを制した立川での親子二代制覇の偉業も、山口なら難しいことではないように思える。

 脇本は前が遠く、清水裕友が番手まくりを打って、新山は最終3コーナーで後退。20年の全日本選抜以来のG1奪取かに思われた清水だったが、ゴール寸前で山口につかまった。
 「犬伏君があれだけいってくれたのに、僕が優勝できなかった。申し訳ないですね。(犬伏が)強かったですし、あれだけ、あんなに頑張ってくれたのに…。正直、もういっぱいでしたね。なかなか影は見えなかったんですけど。最後の最後にやられましたね。チャンスをモノにできなかったんで。悔しいですね」

 新山のまくりが止まり、佐藤慎太郎は最終3コーナーから切り替えて中のコースを踏む。Vロードが見えたものの、3着が精いっぱい。
 「やっぱり(清水)裕友も強かったですし、犬伏君も掛かりが良かったですね。(新山)響平も勝ちにいくなら、あの形になりますよね。あのコースなら脚があれば優勝まであったと思いますし、余裕がなかったですね。もう101パーセントの力で突っ込んでいっている。あそこからもう一歩踏めるようになれれば優勝もあったのかな。でも、力を出し切れなかった悔しさじゃなくて、出し切った上での悔しさ。次のモチベーションになりますね」

Race Playback

レース展開4
 山口拳矢選手が、直線で鋭脚を発揮してG1初制覇。番手まくりを打った清水裕友選手が2着。佐藤慎太郎選手が3着に突っ込んだ。

レース経過

誘導員 : 白戸淳太郎

 けん制気味のスタートから古性優作が誘導員を追う。初手は脇本雄太-古性、新山響平-佐藤慎太郎-和田圭、犬伏湧也-清水裕友-香川雄介、山口拳矢の並び。 青板周回の3コーナーから脇本が誘導員と車間を空け始めると、2センターで犬伏が踏み上げる。誘導員との車間は大きく開く。脇本はいつも通り車を下げ、犬伏-清水-香川、山口、新山-佐藤-和田、脇本-古性の並びとなり赤板を通過。2コーナーを立ち直ったところから犬伏がかなり前を走っていた誘導員を交わして先行態勢に入ると、緩めることなくハイペースでブンブン飛ばす。後続からの仕掛けはなく、最終ホームは犬伏-清水-香川、山口、新山-佐藤-和田で、脇本は前と5車身ほど空いた8番手と絶体絶命のピンチ。2コーナーを立ち直ったところから新山がスパートすると、最終バック線の手前から清水が自力に転じる。新山はまったく車が出ず、佐藤は山口の後ろにスイッチ。脇本は相変わらず後方のまま。3コーナーで先頭に躍り出た清水に香川が続き、内を空けた山口のインに佐藤が潜り込んで最後の4コーナーへ。佐藤が山口を弾いたため山口のスピードが一瞬鈍り、番手の香川は追走が精いっぱい。清水が押し切ると思われたが、立て直した山口がイエローライン付近を素晴らしい伸びを見せて清水を抜き去りG1初Vを達成。2着は清水で、ゴール前で香川を抜いた佐藤が3着。

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