• 久留米競輪場開設74周年記念中野カップレース6/24〜6/27

後記 GⅢ 久留米 06/24

北勢の作戦がズバリと決まる

成田和也

成田和也

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 シリーズの行方を占う初日特選。新山響平が突っ張り先行で脇本雄太を不発に陥れたにもかかわらず、吉田拓矢のまくりに屈して北日本勢は全滅。同じ失敗はできない。それは、まとめ役である成田和也が一番感じていた。
 「初日の失敗があって、坂井と脇本を相手に4車で結束したんで、このラインなら負けられないよねって話は新田(祐大)としました」
 先頭の新山が、8番手で構えた脇本を警戒して誘導と車間を取る。打鐘目がけて踏んだ脇本に合わせて、新山は強烈なダッシュで加速する。ことごとく力でねじ伏せてきた脇本を、新山が合わせ切った。5番手に入り直した脇本がもう一度仕掛けるが、それを察知した新田は最終4コーナーで前に踏み込んだ。
 「新山が落ち着いて駆けてくれて、すごい掛かりだった。(新山は)頼もしいというより、SSなんで、さすがだなって。ジャンですごいダッシュしたんで、後ろは多分口が空いてるだろうなと思って、(脇本が)後ろに入ったのは分かりました。新田が(番手から出て)いけば自分が(まくりを)なんとかしなくちゃって思ったけど、新田のスピードがあった」
 新田をゴール寸前でとらえた成田の優勝。昨年は4度G1決勝の舞台に立ったが、G3優勝となると13年6月に函館記念を制してから、実に10年の月日が経っていた。
 「10年っていうのは自分では分からなかったですね。でも、チャンスは十分あると思ってました。このチャンスを逃したらもうないって感じで力が入りました。優勝できて良かった」
 職人気質の成田は10年ぶりの優勝にも浮かれることはないのだろう。また厳しい練習を繰り返し、激しい戦いへと身を投じる。
 「一走、一走が勝負だと思ってますし、来たチャンスは逃さないようにと思ってます。練習して、レースではラインに恵まれて、その中で自分のレースの質を高めたい。それができれば、結果も付いて来ると思うので」
 今年北日本のS級S班は4人。そこに加えて成田がいる。ラインの結束力を示して、層の厚さをまざまざと見せつけた。

 2着の新田祐大は納得の表情でレースを振り返る。初日の失敗を糧にして、北日本上位独占を果たした。
 「やっぱり新山君のスタイルもありますし、坂井(洋)君もいましたけど脇本君と戦う感じになるのかなって思っていました。新山君の調子が良かったですし。初日にミスをしてしまったので、絶対にミスをしないようにと思って。気持ちを無駄にはできないんで。新山君が全部やってくれました。4着に粘っていましたし。(脇本が5番手に入ったことが)確認できていなくて。新山君のカカリも良かったですし番手から出て行かなくてもいいなって思っていたんですけど、(脇本が)見えたので。スゲーなって。一番後ろから来ているんだったらのみ込まれてしまうなって思って前に踏んだんですけど。初日の失敗があったからこそいい形で最終日を迎えられたと思うので。(次の函館サマーナイトは)地元地区の大会なので、しっかりと北日本から優勝者をだせるように頑張ります」

 北日本4番手を固めた渡部幸訓が3着に入った。
 「(打鐘付近の新山のダッシュは)過去イチできつかったです。脇本さんに入られてしまうわけにはいかなかったんで。後ろに(脇本が)入ったのはわかったんで。ちょっとレベルが高すぎましたね。また脇本君が(まくりに)きたので。ちょっと(最終2センターで)バックを踏んでしまったんできつかったですね。外に東口(善朋)さんが見えて張りながら止まってくれればと思って踏みました。(競輪祭の権利を獲得して)嬉しいですね。気持ちの余裕はあったんですけど、もう少し脚力的に余裕が欲しいですね」

Race Playback

レース展開4
 新山響平選手が、脇本雄太選手らを出させずにレースを支配。新田祐大選手がVを目指して番手から抜け出すが、成田和也選手がゴール前で逆転。

レース経過

誘導員 : 吉良勝信

 スタートは成田和也が出て、新山響平-新田祐大-成田-渡部幸訓の北日本カルテットが前を固める。中団は坂井洋-坂本健太郎-津村洸次郎の即席ラインが占め、脇本雄太-東口善朋の近畿コンビは後攻めとなった。 赤板前から新山は誘導員と車間を空けはじめるが、動きがないまま赤板を通過した。2コーナーを立ち直ったところから脇本がスパートすると、新山も誘導員を交わして猛ダッシュ。新山の出脚は素晴らしく、脇本は渡部の外あたりで厳しくなるが、前と車間が空いていた坂井の前に東口が潜り込み、脇本を迎え入れた。新山-新田-成田-渡部、脇本-東口、坂井-坂本-津村の一本棒で最終ホームを通過。最終バックで脇本が仕掛けるが、車はあまり進まず前団に迫れない。逃げた新山と車間を空けて後続の動きに備えていた新田は2センターから踏み込む。直線の半ばで新田が先頭に立ったが、続いた成田が鋭く伸びて新田を8分の1輪交わして1着。約10年ぶりとなるG3優勝を達成した。2着新田、3着渡部で北日本勢が確定板を独占した。

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