• 立川競輪場開設72周年記念鳳凰賞典レース9/7〜9/10

後記 GⅢ 立川 09/07

番手まくりで記念初制覇

森田優弥

森田優弥

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 「うれしいです。関東のみなさんに感謝です。(眞杉匠との連係での優勝が)めちゃくちゃうれしい」
 少年のような森田優弥の顔が自然とほころんだ。
 関東勢は5人が1つになって結束。番手の森田が前を委ねたのは、同期で先のオールスターで初タイトルを奪取していた眞杉だった。
 「(レース前に)自分が緊張していたのは、眞杉にも伝わったみたい。それで自分を和ませてくれて、リラックスできました」
 こう口を開いた森田は、“眞杉効果”かレースでは至って冷静。落ち着いた判断と立ち回りが光った。前団に構えた関東勢は、眞杉が赤板過ぎに誘導を降ろしてそのまま先行策に出る。一本棒の7番手から新山響平が、2コーナー過ぎに反撃。眞杉もペースを上げて駆けるが、新山が関東勢に襲い掛かった。
 「新山さんも強いですし、犬伏(湧也)さん、北井(佑季)さんもいる。まずは(自分たちが)レースをつくってと。赤板からの1周はすごいスピードだった。(別線は)もう誰も来られないだろうなと。あとはホームの風が強かったんで、そこくらいからの勝負だろうと。でも、(眞杉の)タレ幅もそんななかったので、後ろを確認しながらでした」
 新山がライン3番手の平原康多の外辺りまで迫ると、森田は意を決して番手まくりを敢行。先頭に立って最終バックを通過した。
 「ラインのみなさんが心強かったんで、自分を信じて踏み切りました。眞杉も掛かってたんで、ギリギリまで引きつけた」
 犬伏がスピード良くまくるも、最終2センターで失速。直線の入口では、森田、平原、佐々木悠葵の関東3人に勝負は絞られた。
 「(立川の直線が)ビックリするくらい長かった。地元の大宮より長く感じました」
 外から伸びる佐々木を半車輪差で退けて、ゴール線を真っ先に駆け抜けた森田が記念初制覇を遂げた。
 「佐々木さんも来ていたんですけど、スローリプレイで(優勝したのを)確認した」
 失格を重ねた昨年は、12月の立川で5度目の失格を喫して22年を終えた。そのペナルティもあり、5月からの3カ月は配分がなく、長期の戦線離脱を強いられていた。それだけに8月の復帰から4場所目での記念初Vは、森田にとっては大きな励みになるに違いない。
 「並ぶって決めて、眞杉から言ってくれたんで、これからは自分はもっと頑張らないといけない。(優勝できたのは)ラインのおかげ。競輪はラインだと思った」
 ラインの力でオールスターを制した眞杉が、今度は同期の森田を盛り立てる積極策。関東の若手が流れを切らせることなく、ラインとしての競輪を大切に受け継いでいっている。

 不慣れな4番手の佐々木悠葵だったが、平原を危なげなく追いかけて直線を迎える。外を踏んで平原を交わして2着に入った。
 「難しいですいね、4番手は。反応が4回目になるので、ズレがどんどん大きくなる。脚も結構、削られる。守澤(太志)さんや北井さんとか誰かしらが来ると思っていた。自分が外を踏んで、内は高橋(築)さんのコースだと。踏みごたえはあった」

 埼玉ワンツーに思われたが、直線で伸びを欠いた平原康多が3着。最終ホームで脚を使ったことが最後まで響いたようだ。
 「眞杉がすごい掛かりだった。ホームの向かい風がすごくて、最終ホームで詰まって外に差し込むと(別線に)内から来られるから内に差し込んだところで踏まれた。結果的にはいい援護になったけど、かなりキツい形になった」

Race Playback

レース展開4
 結束した関東勢5車の番手から、森田優弥選手がまくりを打ち優勝。外を伸びた佐々木悠葵選手が2着に入り、平原康多選手は3着。

レース経過

誘導員 : 鈴木謙二

 号砲で佐々木悠葵が飛び出し、眞杉匠-森田優弥-平原康多-佐々木-高橋築の長い関東勢が前受け。以下は新山響平-守澤太志、犬伏湧也、北井佑季で周回を重ねる。 青板バックで北井が内を突いて関東勢の後ろまで車を上げるしかし、誰も仕掛けようとはせず、赤板経過で眞杉が自ら誘導を切って先行勝負に出る。打鐘手前で新山が巻き返すが、前も掛かっていてなかなか車が進まない。結局、引き付けた森田の最終2コーナーからの番手まくりで新山は行き切れず、ワンテンポ置いて新山を追っていた守澤は内に降りて北井と絡む。最後方で単独となっていた犬伏も2コーナー過ぎからまくるも中団の外までで不発。森田を先頭に最後の直線へ。続く平原、佐々木と関東3人のV争いに絞られるが、最後まで力強く踏み切った森田が記念初優勝を飾った。平原は詰めを欠き、外を踏んで伸びた佐々木が2着に入った。

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