今年5度目の記念VでG1に弾み
郡司浩平
先月の地元、平塚記念に次いで今年早くも5度目のG3制覇。舞台は取手に移ったが、そこにも郡司浩平の笑顔があった。
「今回は追加だった。初日に気持ちの弱さが出た。その反省もあって、(2日目から)自分のなかで気持ちを切り替えられたので(追加で)来て良かった」
松井宏佑ともに共倒れに終わった初日特選7着でスイッチが入った郡司は、そこから3連勝。年頭に掲げたテーマでもある勝ち切る走りに徹した。
「(スタートは)外枠だったしダメもとくらいな感じだった。半分は(前が)取れないくらいで、そのなかでどうするかだった」
前団は地元勢。赤板過ぎに吉田拓矢に突っ張られた松井が、6番手からの出直しを余儀なくされる。打鐘を通過して先行態勢の吉田が、腹を固めてペースを上げていった。
「ヨシタク(吉田)の踏み方次第でした。(吉田が)踏みながらなのか、すんなり引くのか。(松井)宏佑も車体が前に出る前に(吉田に)踏まれてしまった。駆けたヨシタクがすごかった」
単騎で5番手にいた岩津裕介が、前との車間が大きく空いて追いかける。4コーナーから反撃に出た松井にとっては、それが大きな誤算だった。
「(岩津が)想定外でした。宏佑も岩津さんを交わして追いかけて、脚力を消耗したと思う。僕は張られないようにっていうのもあった。余裕をもって走れました」
前団に襲い掛かった松井だが、横に並ばれる前に杉森輝大が番手まくり。松井が合わされ、郡司は冷静に最終2センターで外に持ち出した。
「(松井は)失速している感じではなかった。自分は内を見るよりは、脚をためられたので外で勝負してと思いました。(最終)2センターくらいから踏んで、成田(和也)さんも(杉森を)交わしていったんでどうかなと。思っている以上に体に余裕があったので、最後は伸びていった」
直線の入り口では杉森が先頭も、勢いは郡司。杉森後位から差し脚を伸ばした成田をとらえたところがゴールだった。
「記念はしっかりとまとまった成績を残せている。ただ、G1、G2になると1つも2つもレベルが上がっている。そこでいかに勝負できるかが、後半戦に向かっていくなかでの課題です」
ここまで27勝とハイペースで勝ち星を積み重ねている郡司が見据えるのは、G1高松宮記念杯。「あと2週間あるので、しっかりと準備ができると思う」。今年は全日本選抜、日本選手権とG1ファイナルを逃しているだけに、ここで満足するわけにはいかない。
最終バック手前から杉森が番手まくりを敢行。地元勢に付けた成田和也は、松井を阻めずも直線で伸びて2着。
「地元だし、吉田にいいように走ってもらえればと思っていた。松井が止まったところで、郡司が外に見えていたんでどうしようもなかった。(杉森は)吉田も掛かっている上から出ていったので、いいスピードだった。自分も松井を止められれば良かったんだけど」
「なんとか僕も1着でゴールしたかったけど。情けない」とは、吉田の積極策の意をくんで、番手まくりを打った杉森輝大。
「(突っ張られた松井が引いてから)もう1回来るのは想定していた。感触は悪くなかったけど、もうちょっと周回中から落ち着いて走れれば良かった。(別線は松井の)後ろもその後ろも脚がある人がラインを組んでいた。(吉田)拓矢があれだけ頑張ってくれたのに、地元で優勝できなかった…」