今年のGP舞台の地で完全V
脇本雄太
今年のグランプリの舞台で4日間、脇本雄太がすべてをのみ込んでファンを魅了した。まくり4連発のパーフェクトVで格の違いを見せた。
「自分の状態が悪いなかで、結果をしっかり出せたのでホッとしています」
昨年10月の寬仁親王牌でのアクシデントで、左ヒジ関節の脱きゅう骨折の大怪我を負った。その後、グランプリには間に合ったが、完調にはほど遠いデキ。それでも26年の始動となった和歌山記念を、二次予選からの3連勝で優勝。今シリーズも無傷で決勝進出を果たしたが、脇本自身が満足のできるコンディションとレース内容ではなかった。決勝でも前との車間を大きく空けての組み立てに、「成田(和也)さんには申し訳ないですけどって、思っていました」と、地元の成田には申し訳なさそうに振り返った。
レースは吉田有希、山崎賢人の順番で動いて、3車ラインの堀江省吾が打鐘3コーナーで主導権。脇本を警戒して、別線がもつれることはなく隊列は一本棒。最終ホーム手前から堀江がペースを上げて、後方の選手には苦しい流れになった。
「道中のペース自体は、さほど早くなかった。それで誰かカマシに行くかなって思っていた。けど、(山崎も吉田も)動かなかったので、厳しい展開になるなって思っていました」
安易な早仕掛けは、脇本のまくりを引き出してしまう。別線にはそんな暗黙の共通認識もあっただろう。車間を詰める勢いで脇本が、2コーナー過ぎから踏み出す。6番手の吉田は動けず、4番手の山崎は3コーナー過ぎ。番手から追い込んだ小林泰正が遠いまま、脇本は直線を迎えた。
「その辺(吉田の動きは)は見ずに、自分の踏めるところを踏んで、なるべく(あおりを受けて)避ける動作をしなくてもいいようでした」
直線の半ばで山崎に並んだ脇本の勢いは断然も、小林の伸びもいい。ゴール寸前でとらえた脇本は、今シリーズの4走では最小の着差、4分の3車輪だった。
「状態はどうやっても完調には戻らないので、そのなかでどうやって勝っていくか。そこが課題かなって思います」
言い訳は許されないS級S班。今年初戦こそシンガリ負けを喫した脇本だが、その後は7連勝で人気に応え続けている。
「(昨年のグランプリは)不甲斐ないレースをしているのでリベンジしたい」
寺崎浩平の番手を眞杉匠に攻め込まれた昨年末のグランプリは9着大敗。それだけにグランプリスラマーといえども期するものがある。まずは昨年グランプリスラムを達成した全日本選抜を連覇。その先の年末の平に続くグランプリロードを確実なモノにする。
引きつけてからペースを上げて駆けた堀江の掛かりも悪くない。ギリギリの判断で踏み込んだ小林泰正は、悔しがることしきり。
「堀江君のペースが徐々上げだった。もしかしたら残るんじゃないかっていう心の迷いがあった。しっかりとタテに踏んでいれば…。甘かった。(脇本が)来たのが見えて、踏んだんですけど遅かった」
分かれた関東勢に割って入る形で4番手を確保した山崎賢人は3着まで。
「自分のタイミングで(仕掛けて)行けた。けど、番手(小林)も乗り越えていないですし。脇本さんはそれを乗り越えている。(同期の久保田泰弘と)ワンツーができたらって思ったけど、僕が弱かった」