会心のまくりで強敵打破
北津留翼
寺崎浩平と、古性優作の近畿SSコンビを打ち崩したのは、単騎でもチャンスを逃さず踏み込んだ北津留翼だった。
正攻法に構えた寺崎を、打鐘で嵯峨昇喜郎が強引に押さえる。一旦下げた寺崎だったが、すぐさま坂井洋に追い上げられて、内に封じ込められてしまう。先頭の嵯峨も、もつれを気にしてペースダウン。一瞬の勝機を、北津留は逃さなかった。最終1コーナーから意を決してペダルを踏み込むと、あっという間に前団をのみ込んだ。
「前団が仕掛けてくれると思ってましたし、まくり追い込みの方が(勝てる)確率があるかなと思ってました。でも、ホームで思ったよりもけん制が入って、スピードが落ちていた。強い選手が内に詰まっていたので、だめかなと思いながらも行きました」
2コーナーの下りでスピードに乗った北津留に対して、外併走から踏み込んだ坂井は引き離されてしまう。外が開けた寺崎が、坂井をとらえたのは2センター。すでに北津留とは、5車身ほどの差が開いてしまっていた。ゴール前で詰め寄ったものの万事休す。北津留が、2分の1車輪差で押し切った。
「2コーナーの下りを使って出られたけど、坂井君が(真後ろに)ハマっただろうなと思ってた。2センターくらいまでしかもたないだろうなと思ってたので、最後まで誰もこなくてびっくりでした。昨日(3日目)は、正直6着くらいかなと思って踏んでたけど、アクシデントがあって決勝に上がれた。流れがあったのかな」
ツキもあっての勝ち上がりだったが、決勝はそれだけで勝てるメンバーではなかった。潔いほどの思い切りと、持ち前の爆発力が、単騎の不利を跳ねのけた。22年久留米記念以来、7回目のG3優勝で勢いを付けて、約1カ月後に行われる熊本での全日本選抜へと向かう。九州地区が誇る稀代の天才レーサーも、昨年で不惑を迎えた。今年は九州で2つのGIが開催される。いよいよ初タイトルへの期待が高まるが「いやいや、次は荒井(崇博)さんが…」と、あくまでも北津留は等身大の回答だった。
「(全日本選抜に向けては)もう自分は歳なんで、上積みは厳しいけど、しっかり練習して備えたいです。九州はなかなか厳しいんで、どんどんみんなで強くなれるように。意見交換しながら、一緒に強くなっていきたいです」
自分だけではなく、九州のみんなと。ファンからも、仲間からも愛される北津留が、九州地区を底上げしていく。
急追した寺崎浩平だったが、北津留をとらえ切るまでには至らず。2着の結果も、内容も納得いくものではなかった。
「前からの組み立てで、引いてカマシが理想だった。でも、ジャンで(嵯峨の)押さえ方が甘かったので、突っ張ろうと踏んだ。それでも嵯峨君が切ろうとしてきたので一旦引いたが、ホームで坂井君と被ってしまった。そこで緩めるのも良くないので、変なところで粘る形になってしまった。結果、北津留さんがサラ脚になってしまいました。これでは勝ち負けできるようなスピードではなかった。決勝が一番しょうもないレースになってしまった。切り替えて次に向けて頑張りたい」
寺崎に続いた古性優作が3着。結果的に、今シリーズは未勝利で終わった。
「自分は寺崎君の動きに付いていくことだけでした。考えていた最悪の展開になってしまいましたね。でも、自分の力不足でした。(車輪も含めて)もうちょっと試してみたいこともあるので、次の小松島(高松記念)で試せたら」