連覇で今年もGP一番乗り
脇本雄太
S級S班9人のうち、4人を占める近畿勢。南修二は二次予選で敗退したが、一次予選を繰り上がったツキを持ち込んだ三谷将太が、準決で寺崎浩平とのワンツーで優出。S級S班3人プラス三谷の強力な近畿の布陣が、できあがっていた。
「なによりも近畿のみんなに助けられた優勝だったと思います」
昨年の全日本選抜で史上初めてとなるグランプリを含む、全7冠制覇のグランプリスラムを達成。そこから一年、連覇の脇本雄太が、仲間たちに感謝した。昨年10月に負った大怪我は、「(左ヒジは)まだ10%にも満たないぐらいの回復度です」と、現在のコンディションを前検日に語っていた。しかしながら、シリーズが始まってみれば、初日特選を異次元の8番手まくりで快勝。上々のスタートを切ったものの、2日目「スタールビー賞」では、寺崎浩平の番手で“落とし穴”にハマって8着。自身の連勝も8でストップした。
「(スタールビー賞は)お互い失敗したところもあったので、(寺崎は決勝で)それをふまえたレースをしてくれた。本当にうれしかったです」
郡司浩平にカマされたスタールビー賞は、脇本が寺崎を3番手に迎え入れたが、寺崎はまくれず共倒れ。古性優作が勝ち切って、ラインでの総崩れは免れたが、脇本、寺崎には悔いの残る内容だった。
「(2日目と同じ失敗しないという寺崎の気持ちは)僕は赤板の1コーナー過ぎくらいで、察知していました。僕もそれに対して失敗しないように、早めから車間を切っていた。なるべく後ろから来られないようにしようと」
寺崎に突っ張られた犬伏湧也が、8番手に戻り、脚力を消耗。しかしながら、5番手をキープしていた郡司、単騎の山口拳矢はロスすることなく脚力温存していたが、仕掛けることはできなかった。
「(近畿勢は)ラインで決めたいっていう意識がお互いに見えたので、それが実現できて良かった。最後は古性(優作)君とゴール勝負ができて良かった」
一本棒の隊列が崩れることなく寺崎が逃げて、脇本は最終2コーナーで番手まくり。言葉を交わすことはなくても、後輩の背中を見て下した脇本の決断だった。
「(寺崎とは)お互いにタイトルを獲らせてもらったりっていう関係のなかで、お互いにできることをやろうって。寺崎君もこれだけ頑張ってくれた上で近畿のみんなも。その辺は理解してのレースだった」
寺崎がG1初優出を果たした22年8月のオールスターから、一昨年11月の競輪祭、昨年2月の全日本選抜、6月の高松宮記念杯、そして今シリーズ。脇本が直近で獲った5個のG1はすべて寺崎の番手でのもの。その間に昨年8月のオールスターでは、寺崎の戴冠に貢献する先行策も披露していた。
「次のG1も近畿勢が獲れるように、僕自身も一生懸命頑張ります。(今年もグランプリの出場権を得たが)去年失敗したぶんも踏まえて、より近畿の層を厚くしてグランプリに臨みたい」
昨年末のグランプリでは、眞杉匠に寺崎の番手を奪われてシンガリに沈んだ。その悔しい思いが、原動力にもなっている。それだけに自身がグランプリの権利を獲得しても、まだ始まったばかりの今年のG1ロードに終わりはない。
脇本が別線の仕掛けを待つことなく最終2コーナーで番手発進。脇本後位が今シリーズだけで3度目となる古性優作が、ピタリと続き直線勝負で2着。
「(寺崎は)すごい掛かりでした。とんでもなかったですね。前の2人が強すぎた。(脇本が番手から出ていった時)すごかったです。とんでもなく伸びていった。自分は踏み込みもきれいに回していたんですけど。脇本さんの番手まくりに付いていったなかでは、いままで一番感覚は良かったです」
単騎の山口拳矢は、ロングラインの近畿勢、郡司ラインを前に見る7番手からレースを運ぶ。最終3コーナー過ぎから三谷と郡司がもつれて、2センターで大外に持ち出した山口が、近畿ワンツーから6車身離れた3着に入った。
「内をどこかいけるところまでと思っていたけど、空かなかったです。寺崎さんは早めに駆けていきましたよね。我慢をして仕掛けようと思っていましたけど、仕掛けてから前と離れているのが見えて、そこで負けてしまいました。ほぼ、流れ込みなので、なんとも言えないですね。(感触は最終日の)今日が一番でしたし、勝負にいけば良かった。寺崎さんが強かったですね。G1は優勝してこそですし、次、頑張ります」