深谷知広がチャンス逃さず番手発進
深谷知広
幾多の連係と実績を誇る南関コンビにとっても、思いもよらない展開だった。そのなかで先頭を務めた郡司浩平が出した答えは、先行策。深谷知広は、揺らぐことない信頼感で郡司の背中を見ていた。
「(赤板を過ぎても別線が)誰も来ないのは、お互い想定外だったと思う。郡司が(先行に)気持ちを切り替えた瞬間に、そこから自分がどうするかだった」
主導権取りに出ると思われた新山響平は、犬伏湧也にフタをして赤板を迎える。ギリギリまで引きつけて駆ける腹づもりだった新山を郡司が突っ張り、敢然と風を切って逃げた。
「せっかく(郡司が)先行してくれているし、自分がもうちょっとなにかできたのか。ただ、(別線の)メンバーも強烈なので、今回は踏む形にはなりました」
郡司と2車のライン。3番手には周回中から脚力を大きく消耗することなく単騎の吉田拓矢が続いて、古性優作も最終ホームでは4番手を確保していた。深谷は、郡司の余力と後続との間合いを取りながら反撃に備える。古性がまくりを打ち、3番手の吉田とのもつれを待った深谷が、自身のエンジンに点火してその力を爆発させた。
「まだ自分のなかで付いていくことというか、連係を外さないでっていう意識が強い。しっかり援護のできる、頼りがいのある番手にならないといけない。これからもっと頑張らないといけないと思います。やっぱり郡司がいいところまで連れて行ってくれているので、勝たないといけなかった」
番手まくりで勝ち切ったことにも十分に価値のあるスーパープロピストレーサー賞だが、今後のG1戦線を見据える深谷の自己評価は厳しい。
「(スーパープロピストレーサー賞は)少しは余裕をもって走れるところがあった。また次から(G戦線になれば)さらにみんなプレッシャーがかかってくると思うので、そのなかでどう戦うか見極めていきたい」
3月のウィナーズカップでは、久々のビッグ優勝。今年は14年以来のG1制覇、23年以来のグランプリ出場の期待が膨らむだけに、スーパープロピストレーサー賞Vは重みを持ってくる。
最終1センター過ぎにまくった古性優作は、吉田をキメながら深谷に襲い掛かるが、脅かすまでには至らずの2着。
「本当はあんな予定ではなくて、新山君が叩いた上を叩いて力勝負がしたかったんですけど。ジャンの判断は難しかったですね。(最終)ホームで詰まったんですけど、ジャンから追走をしっかりと思って走っていた。そこは仕方ないですけど、間合いを取る時間がなかった。踏み込んでからは全開でしたけど、深谷さんの加速がすごかった。モガき合いにもならなくて、遥か彼方に行ってしまった」
3番手キープの吉田拓矢は、古性とかぶって仕掛けられず、こう振り返る。
「(最終)2コーナーで行こうと思っていた。けど、古性さんに先に行かれてしまった。ホームで詰まってしまって、行きづらくなりましたね。感じが良かったので、外を仕掛けたかった。悔しいです」