渾身差し決めG3初制覇
志村龍己
「信じられないですね。これは夢ですか?」
普段はやわらかい表情の志村龍己(写真)が開口一番に驚きの表情を浮かべながら素直な気持ちを口にした。一次予選4着、二次予選4着とかろうじて勝ち上がった準決勝で安彦統賀と連係し、鋭い伸びを発揮して1着。流れが一気に変わった瞬間だった。決勝戦では再び安彦の番手を務めると、仕掛けに集中して4コーナーから全力でペダルを踏み込んだ。
「(安彦は)臨機応変にできるし、全部任せていました。ただ後輪だけみて付いていきました。まくれる力があるというか、強いですよね。抜けるとも考えていなかったし、抜いた感覚もなかったです。無心で踏んでいたので、あまり覚えていないです」
2018年には日本選手権に出場するなど、かつてはG1の舞台での活躍も期待されていたが、近年は影を潜めていた。
「ここまですごく苦しかったし、精神的にも色々あったし、体が変わっていくなかで対応ができていなかった。そんな10年間だったと思う。先輩や後輩など、色々指導してもらって今があると思う。(優勝したことで)競輪祭に出られるみたいなので、そこに向けて一歩一歩、少しずつ調子を上げていきたいと思います」
デビュー16年目で4日制G3初優勝を果たし、競輪祭の権利を獲得。秋の大舞台を目標に、これからも関東の仲間と切磋琢磨することを誓った。
2着には力強いまくりを繰り出した安彦統賀が残って、関東ワンツーを決めた。
「展開がめちゃくちゃ向きましたね。野口(裕史)さんが前受けなら突っ張るだろうなと。野口さんが仮に引いても自分たちは中団を取れるだろうなって。あの展開になったので、野中(龍之介)君がどこからくるかでした。野中君が仕掛けてきた音が聞こえて、いいタイミングで出られました。最後は一杯でしたけど、志村さんとワンツーが決まってよかったです。初日が終わってから初めて腰痛が出てしまって、同期とかに治療方法とか聞いて4日間走りました。競輪祭の権利を確保できて、新しい目標ができました。その目標に向かってまた練習で鍛えます」
野口マークから切り替えて直線追い込んだ海老根恵太が3着に食い込んだ。
「脚を使わないように意識はしていたんですけどね。野口君の掛かりだと脚が削られてしまう。情けないです。何もできなかった。安彦君のスピードが良くて、あっという間にいかれてしまった。今開催は全部、前の選手のおかげで決勝までいかせてもらいました。連日、最終バックを番手で回らせてもらった。これで競輪祭の権利を得たのでいい目標になります」