勝機は逃さず差し切りV!
渡部幸訓
渡部幸訓は念願の記念開催での優勝を果たし、うれしさがこみあげてきた。
「(G3は21年3月)宇都宮での(国際自転車)トラック競技支援競輪で優勝しましたけど、記念はなかったので年齢的にも獲りたいと思っていたので優勝はうれしい」
決勝の目標は地元記念制覇を渇望していた佐々木悠葵。佐々木は前受けして、中団から先に切りにきた浅井康太を青板バックで突っ張ると、その上を叩きにきた青野将大を出させて、単騎の南修二も入れて4番手の位置を赤板で確保する。打鐘で動きはなく、打鐘4コーナーから巻き返した佐々木のスパートをこう振り返る。
「佐々木君はいいタイミングで仕掛けてくれました。あそこでいかないとごちゃついてしまいますから。佐々木君のまくりに口が空いたりしていたので、ニュートラルに入れながら追走していました。(最終)ホームの加速が苦しくて、締めて回らないと脚がある小原(太樹)さんがきますからね」
佐々木が1センターで逃げる青野を捕らえると、別線も巻き返しは厳しくなり、最終4コーナーを絶好展開で迎えた。
「地元の佐々木君が頑張ってくれました。(最終)4コーナーから苦しい感覚で、差せたかどうかは半信半疑でした。差した感触がなくて、ビジョンを見たら自分が(カメラに)抜かれていたので、(優勝を)獲れたんだなと思って安心しました」
今開催の勝ち上がりは決して楽な戦いではなかった。初日特選は自ら動いて打鐘先行で5着。二次予選は小松崎大地を目標に抜け出すも伸び負けて2着。準決勝は最後の直線で接触して前輪が壊れるアクシデント。それでも意地で決勝に勝ち進んだ。
「今回は北日本勢が少なくて、苦しい戦いでした。でもそれは事前にわかっていましたし、気持ちでは負けないようにと。準決勝も車輪が壊れて転ぶかもしれなかったけど、踏みやめずに何が何でも(決勝に)乗ってやろうと思った。初日は(阿部)力也がついてくれたし、二次予選も小松崎(大地)さんが頑張ってくれて、背中を押してもらった。決勝も佐々木君が頑張ってくれて、力也が3番手を固めてくれて、ラインに恵まれたので感謝ですね」
今年は日本選手権で決勝に進出するなど、2023年から年に1度はG1の決勝に進んでいたが、記念開催の優勝だけはなかなか獲ることができなかった。それだけに、ひとつの目標を達成できて笑顔をみせた。
「久しぶりの優勝でようやく、実感してきたというか、表彰式とかでじわじわと(実感をして)ホッとしているというか、(記念優勝を)目標にしていたので、安堵ですね」
今年のグランプリは地元のいわき平での開催。トップ戦線で活躍する渡部の出場は決して夢物語ではないはずだが、自身は現状を見つめて同県、同地区の仲間にエールを送る。
「賞金的には厳しいっていうのはわかっているので、自分が記念を優勝したことで、グランプリ出場を争っている北日本のメンバーが刺激を受けて勢いに乗ってくれればと思います」
地元記念初優勝を目指した佐々木悠葵は勝負どころを逃さないスパートで別線をねじ伏せた。しかし、ゴール直前で交わされて2着。悲願達成とはならず、悔しさを滲ませた。
「(浅井が先に切りに来て)迷ったけど(突っ張って)、まだ距離も長いですし、(青野が)いい勢いで来たので、いかせてでした。(前との)車間を空けすぎでしまったけど、それが良かったと思う。(仕掛けたタイミングは)青野さんがハイペースだったし、展開次第でと。(出切ってからは)あとはどれだけ(もつか)と思っていたけど、サドルへの座り方が悪かった。お尻の位置がズレていて良くなかった。これで勝てるように力を付けないと」
小原太樹は弟子の青野将大と今シリーズ3度目の連係。佐々木に最終ホーム過ぎに出られてからは、切り替えて内で阿部力也と併走する形となり、耐えて直線で踏み込むも3着が精一杯だった。切り替えた場所を悔やんだ。
「(青野は)スイッチが入りましたね。出るところはいいところで出られたと思う。自分も、もう少し仕事をできれば良かったかな。(佐々木の)スピードが良かったですね。気づいたらすぐそこまで来ていた。もったいなかった。(渡部)幸訓さんのところにいければよかったけど、差し込む感じでこられて、合ったところででした。優勝を獲りにいくなら番手(渡部の位置)しかなかった。出直してきます」