• 小倉競輪場 第64回朝日新聞社杯競輪祭11/22〜11/27

インサイドレポート・シリーズ総評

ピックアップ GⅠ 小倉 11/22

 今シリーズのデキがピカ一だった新山響平の力があってこそ、獲得できた初のタイトル。それは言うまでもないが、結束した北日本が心を一つにした賜物(たまもの)でもあろう。グランプリでの同乗が待っている新田祐大、守澤太志に、自身の久々のグランプリがかかっていた成田和也までもが心憎いまでの“援護射撃”。成田の選手としての器の大きさに感服するとともに、成田をそこまで動かしたのは、新山のこれまでの積み重ね。北日本地区に貢献してきたスケールの大きな走りだ。新山、成田がそろってグランプリに出場することは、あり得ない競輪祭決勝だったが、来年以降にその楽しみはとっておきたい。

清水裕友

清水裕友

 新山の優勝でボーダーにいた清水裕友が、5年連続5回目のグランプリを逃した。

 「前検日には(獲得賞金)9位のプレッシャーを楽しむとかハッタリをかましたけど、(シリーズは)1つもおもしろくなかった」と、苦しい胸の内を吐露した。9着に敗れた準決が明暗を分けた格好だが、中団で北津留翼との勝負に出るのではなく、関東勢をつぶしにいった仕掛けは、この重圧のなかで誰でもできるものではない。最終日はラインを上位独占に導いて、わずかでも溜飲を下げたことだろう。

 「決勝にいって勝負したかったですね。(最終日は)あのまま淡泊になると7番手になるから、1個(のラインを)突っ張ってと思いました。作戦がうまくハマったかなと。その前に脚を使ってた分、キツかった。でも、初日から自分だけのレースばっかりだったので、最後はラインで決められたのは良かった」

山田久徳

山田久徳

 山田久徳は、一次予選2では脇本雄太の逃げを差し、古性優作のまくりを差した最終日でシリーズ2勝目を挙げた。2人合わせて今年4冠。昨年に次ぐ競輪祭ファイナルはならなかった山田だが、手ごたえをつかんだ今年最後のG1でもあった。

 「(最終日は古性が仕掛けて)行った瞬間、まくり切ると思った。そしたら(松坂洋平の)ブロックが(古性の)車輪に来て危ない感じだった。それで古性も止まった。自分は余裕がありました。その分、最後は伸びてくれた。(シリーズを通して)タテ脚自体は悪くなかった。チャンスが来た時にモノにしようっていう気持ちでやっています」

松井宏佑

松井宏佑

 新山と時を同じくして、ナショナルチームを去った松井宏佑は着。すぐに結果を出した新山のようにはいかなかったが、“競輪一本”で新たなスタートを切っている。

 「(2着だったけど最終日は)今回の5走のなかで一番感じが悪かった。(今シリーズは)現状じゃトップの選手とは戦えないっていうのが、あらためてわかった。近くに郡司(浩平)さんっていうこれ以上ないお手本の先輩がいるので、教えてもらいながらやっている。まだ(練習環境など)落ち着いているわけじゃないけど、ゼロからやっていきたい」

長島大介

長島大介

 二次予選Aで脇本を不発にする先行策で3位入線も、イエローラインの踏み切りで失格の憂き目をみた眞杉匠。そしてその流れを断ち切るように、坂井洋がG1初優出。長島大介は、同県の後輩に感化されながら、こうシリーズを振り返る。

 「(最終日のコーナーを我慢してもう一度踏む)そういう地脚はあるんですけど、(渡邉一成の先行をそのまま)乗り越える自力ですね。それがあれば、もう少し上で戦えるかなと。自分の課題がみえて、次からやりたいレースっていうのがみえたんで収穫がありました。あの2人(坂井、眞杉)と一緒に走れれば自分にもチャンスがある。後輩の活躍が、一番のモチベーションになりますね」

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