疾風怒濤の競輪回顧録

疾風怒濤の競輪回顧録

山田 裕仁 山田 裕仁 やまだ ゆうじ 競輪評論家  昭和63年5月に61期生としてデビュー。平成9年KEIRINグランプリを皮切りに、GP、GⅠを優勝すること9回と、同期の神山雄一郎、吉岡稔真とともに一時代を築いた。14年3月のダービーで現役引退を表明。同年5月の引退後はスポーツニッポン紙で競輪評論家として活動している。

第17回 ろくでなし  2016年4月12日

 競輪選手は全国に仕事で出かけることが出来るのであちこちの美味しいものを食べることが出来ます。
 ある日ふと、大垣にいても美味しいものが食べられる店が欲しいなぁ。そうだ、自分で作ればいいんだ。そんな気軽な気持ちで作ってしまうロクでもない男であった。(笑)
 税理士や経営コンサルタント、社労士に調理師、店建てなきゃいけないから建築士等いろ~んな人と何度も何度も会議を開いて話し合いました。店のコンセプトや場所探し、やらなきゃいけないことはとんでもない量です。とても選手を続けながらやれることじゃないなぁと思いました。労働者を集めるために面接もしなきゃいけないし、食器など買い揃えなきゃいけないし、仕入れ業者等やらなきゃいけないことはホントたくさんありましたね。それなのに、一度やり始めたら途中で辞めたくない変な性格がオープンまでこぎつけてしまったのです。
 2006年、無事『わのわ』という店をオープン。選手の利点、全国に選手がいることもあり、各地から旬な食材を手に入れることが出来ました。とくに北海道の野菜や海産物はとても美味しい。北海道の斉藤正剛君には本当にお世話になりました。人類皆兄弟的な性格だから、農家さんとも仲良くしてて、産地直送の採れたて野菜が手に入るようになり、素材が良いから料理もそこそこの物が出せる店になりました。
 しかし、料理の美味しい店だけじゃ生き残れないのがこの世界なんですよ。サービスもそうだし、従業員の接客態度、いろんな要素が総合して繁盛店になります。そこで我が家のエース、奥様の登場です。10年間も営業続けてこれたのは奥様の力で、私は名前だけのオーナーになってしまいました。さすが商売人の娘だけあって、婦人会の付き合いや、各社の接待や、観光バスまでが寄ってくれる店にまでなりました。今じゃ大垣の山田は旦那様より女将さんのほうが間違いなく有名人になりました。
 私の選手全盛期のアシストでも大変だったのに、四人の母親としても大変な生活を送り、そしてまた今の店の経営でも頑張って、素晴らしいスーパーウーマンです。そりゃ、早朝救急車も許しますよね(笑)
 毎日はりきって店の経営頑張ってますが、かぁちゃん、体壊さない程度に頑張ってくださいよ!
 先に死なれたら生きていけない私なんですから。
 俺の勝手に作った店なのに、また奥様に迷惑かけてるなんてホントろくでなしですよね。

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