富永益生選手愛知Ａ級１班プロフィールスポット・インタビュー｜　当たる競輪（けいりん・KEIRIN）無料予想はエンジョイ

　５年半ぶりのＳ級だ。その間には競走得点が85点まで落ちた時期も。「完全にバネ（気持ち）が切れてたね」。富永は当時の心境をこう振り返る。
　「点数が落ちた時は１年ぐらいバネを切って、辞めようかなとも思った。情けないし、かっこ悪いレースばかりだったから。いかんせん自分に甘いんでね。でも、辞めても、これと言ってやりたいこともなかったから」
　５年前に独り身になったことも気持ちが切れた理由のひとつだったが、公私ともに支えてくれるパートナーと出会ったことで再び奮起することを決めた。
　「戻るのに５年半かかって、気づけば50歳ですね。今は支えてくれる人がいるし、その人が活躍をあと押ししてくれてるんで。その人は僕がＡ級を走ってるとこしか見ていない。もう一度、Ｓ級で走ってるところを見せたかった」
　５年半もの間にＳ級のレースは大きく様変わりしていた。敗者戦では連対できても、なかなか初日をクリアできない。３月玉野記念in広島でも一次予選で敗れた富永は２日目から現在、主流となっているステム（ハンドルとフレームをつなぐ部品）を伸ばし、ハンドル幅を狭くするセッティングを試してみた。「部品は後輩に借りてたんだけど、どうかな？って思いがあった。初日が不甲斐ないレースだったので、心機一転変えてみたらいい方に出た」。残り３日間で２連対。３日目も３着にタイヤ差まで迫るなど伸びていた。
　「脚やタイムでは若い子に勝てないけど、僕には30年やってる経験値がある。固定観念が邪魔することもあるけど、セッティングでもこうやって今までできないことをやれるようになってきたので。あとは、このセッティングをどれだけ煮詰めていけるかですね。ここ（玉野記念）の初日まではレースに加わるので精いっぱいだったけど、こうして確定板にあがるレースができてるんだから」
　やはりＳ級には夢がある。50歳を目前に戻ってきた富永にも欲が出てきた。
　「久しぶりに戻ってきて、やっぱり記念は雰囲気が違うし、Ｇ１になればまたもっと雰囲気が違う。甘くないのはわかってるけど、良さをわかってるから、あの雰囲気をまた味わいたいし、もう１回走ってみたい。同年代にもまだ頑張れるっていうのを見せられたらなって思いはある」
　一度は現役引退をも考えた男の再挑戦。厳しい道のりであることは間違いないが、温かく見守りたい。

2021年3月9日更新

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