阿部拓真 選手 スポット・インタビュー
S班のカタチ

九人九色。S班のカタチも、それぞれあっていい。圧巻のまくりで記念を連続優勝した脇本雄太が、全日本選抜を連覇して来年のS班を早々に確定。脇本が力の違いをまざまざと見せつけた今年最初のG1で、阿部拓真も新S班としてG1シリーズをスタートさせた。
「やっぱり脚は相変わらずですね。ほかのS班の人たちと比べてないのはわかっている。強くなる準備はしていますけど、急に強くはなれない。S班として強い走りを見せるっていうよりは、S班として強くなっていく姿を1年通して見せられたらいいなと」
昨年11月の競輪祭で初めてG1ファイナルに進出。それだけにとどまらず、決勝ではあっと言わせる3連単504番の最低人気で戴冠。初タイトルを手にした阿部は、全日本選抜の前検日に静かにこう言った。
長年の練習仲間でもあり、阿部の奇跡のタイトル奪取の傍らにいた和田圭も、現状の阿部を冷静に見つめている。
「(阿部は)デビューして10年目だから、7、8年は一緒に練習をやってますかね。(競輪祭を優勝してからも)プライドがあるわけではないし、弱いのを隠さずに練習している。泥臭くカッコつけずにやっているのが、一番アイツらしいかなって思いますよ」
スマートな見た目に相反して、ガッツあふれるレーススタイルが裏目に出ることもあり、辛酸もなめてきた。それがS班になっても、肩ひじを張らないいまの阿部に結びついている。
「グランプリに乗って、本当に最高の舞台で気持ち良かった。また目指したいなって気持ちになった。チャンスはいただけているんで生かせるように。自分で準備して、努力していきたい」
そんな阿部を一人前にしようと、北日本の名だたるタイトルホルダーたちも盛り立て役を買って出た。二次予選では中野慎詞、阿部の後ろを成田和也が固め、佐藤慎太郎は準決、最終日で阿部を番手に回して、3、4番手。その最終日は、3番手が新田祐大だった。
「(最終日は)SSっていうだけで、新田さんを3番手にしていいのかっていうのが、自分のなかにはあります。ただ、新田さんもS班ってことを尊重してくれたし、(佐藤)慎太郎さんも4番手でいいって言ってくれた。緊張感がありますね」
S班としての責務から逃げることなく、番手で奮闘した4日間だった。まだ始まったばかりと楽観するほどの軽さは、阿部にはない。