市田龍生都 選手 スポット・インタビュー
父の勝ったバンクで、連係の一夜

今期一発目になった前橋G3は、積極策を貫き通した3日間だった。市田龍生都は初日、最終日に突っ張り先行で勝利をつかみ、3日間を通して、最終ホームとバックを取る姿勢を崩さなかった。前橋バンクは今シリーズが初出走。かつて父であり師匠である佳寿浩(76期・引退)が10年に寬仁親王牌のタイトルを手にした、思い出のバンクでもある。
「(初日に突っ張り)感じが良かったし、これでいこうと」。初日から迷いなく風を切り、そのまま押し切った。逃げ切っての勝利には手応えもあったが、市田は決して浮かれることはなかった。
「良かったところもあると思いますが、まだ先輩方からもこうした方がいいんじゃないかと言っていただくとこもある」。若さゆえの荒さを自覚しながらも、その視線はすでに次に向いている。帰ってからは師匠にアドバイスをもらい、修正点を見つけて、初めてのビッグになる次のサマーナイトフェスティバルに臨むつもりだ。
シリーズで印象的だったのが、準決での連係だ。福井の先輩であり、グランプリスラマー脇本雄太との初めての連係が実現し、大一番での共闘に、気持ちは自然と高ぶった。
「気持ちは高ぶっていました。焦って踏んでしまったところがあるし、脇本さんを苦しませてしまった部分もある」
頭ではわかっていても、憧れの先輩との連係にどこか力みが出てしまった。
「自分の仕事は(3番手の)志智俊夫さんまでラインで決めることだったし、あわよくば自分が1着を取れれば良かったんですけど、今の自分にその脚はない」
冷静にレースを振り返りながら、今の実力、そして現状を真正面から受け止めた。
3場所前の宇都宮記念では、精神面の甘さも感じたという市田。だからこそ、次を見据える言葉には迷いがなかった。
「宇都宮記念は精神的にも甘い部分があったし、直近の目標は、予選、準決勝、決勝としっかり自力を出すことです。F1、G1問わずに攻める走りを続ける気持ちがないと」
父がかつて頂点に立ったバンクで刻んだ、記念すべき初出走。ここで得た連係の経験と課題を力に変え、市田はまた前を向いて走り出す。