• 福井競輪場 第41回共同通信社杯競輪9/12〜9/15

後記 GⅡ 福井 09/12

23年目のビッグ初V

南修二

南修二

決勝優勝写真
決勝優勝写真
決勝優勝写真

 「(近畿の仲間たちに)付いていくのが精いっぱいなんですけど、なんとか迷惑を掛けずにすんだと思います」
 ファンの前での優勝インタビューで、南修二はこう言って一息ついた。スターぞろいの88期として、03年7月にデビュー。23年目で初めてつかんだビッグだったが、この言葉に南の“喜び”が集約されているような気がする。
 5車で結束した近畿勢。数的に断然有利なラインを形成したが、太田海也、深谷知広をはじめ、単騎の4人は一瞬たりとも気の抜けない顔ぶれ。小さなほころびが、ライン全体の崩壊を招くことを知っている南は、隙をつくらない一心での3番手だった。
 「5車というのを生かして、(三谷)将太なり、僕なりが援護できれば良かった。けど、(古性優作に)ほとんど任せる形になってしまった」
 単騎で攻めることをいとわない深谷知広の上昇を、赤板過ぎに寺崎浩平が敢然と突っ張りレースを支配。5車が隊列を崩すことなく打鐘を迎えたものの、次は太田海也が最終ホーム手前から近畿勢に襲い掛かった。1センターでは南、三谷であおりをつくり、その後は古性が強烈なブロック。スピードが鈍った太田だったが、態勢を立て直して再び踏み込む。3コーナーでも古性に当たられた太田がバランスを崩して落車。内に倒れ込む太田を、間一髪のタイミングで南が避けた。
 「古性が戻ってきた時に前輪が掛からないようにと思って、追走していたつもりです。ちょっとまだ映像を見ていないのであれですけど。待てなかったんで踏ませてもらった感じです」
 状況を見極めて踏み込んだ南は、直線で逃げる寺崎を視界にとらえて、外に進路を取った。
 「踏み込んだ時には、(寺崎を)とらえられる感じでした。(ゴールした瞬間は)とくにというか、レース内容のことを考えていました」
 シャープに寺崎をとらえてゴール。ビッグ15回目のファイナルで、南が初の優勝を果たした。
 「結果としては受け止めるというか、優勝は良かったので次にはつなげたい。(デビュー23年目になるが)歳は関係ないんですけど、立場というか、しっかりとした競輪をまずは自分がして。近畿の競輪というのを見せられたらいいと思います。周りの進化が早いので、なんとか自分が進化しても周りも進化する。必死で追いかけているような状態です」
 賞金も大きく加算して、これで深谷を抜いて獲得賞金ランクを7位に上げた。初のグランプリが見えてくるなかで、南は顔色を変えることなく口を開いた。
 「(獲得賞金でのグランプリ出場は)賞金を気にしても、自分のできることとやることというのは変わらない。(今シリーズの)脚の状態は自分のなかではいいですけど、2日目は(脇本雄太に)ちぎれていますし、そういうところの底上げも必要かなって思います。まだG1が2つ残っているので、しっかりいいレースできるように練習したい」
 ミスなく、隙なく、手落ちなく。南は冷静沈着に、これからも近畿の牙城を守っていく。

 地元の寺崎浩平は、近畿5車の先頭を務めて、迷わず先行策。落車もあったが、近畿での上位独占をメイクして2着に粘り込んだ。
 「前受けをして、主導権を握ってっていう感じで考えていました。突っ張って自分のペースに持ち込めたら、ラインで決められると。深谷さんに思ったよりも抵抗されたので、しんどかったです。そのあとは落ち着いていけたと思います。(落車もあったが)自分はゴールまで踏み込むだけっていう感じで、無我夢中でした。自分としては、やることをしっかりやれたのかなと」

 三谷将太は前の南とは逆の外に避けるロスもあったが、そこから内に降りて3着。
 「古性君が失格したのは残念ですけど、近畿で上位独占できたことは良かったと思います。(寺崎は)いつも通りすごかったです。すごい気迫でした。太田君が行ったあと嘉永(泰斗)君が見えたんで、軽く頭を出した。小森(貴大)君も後ろを固めてくれていましたし、ラインとして心強かったです。落車を避けたわりには伸びたと思います」

Race Playback

レース展開4
 落車のアクシデントを避けて追い込んだ南修二選手が優勝。5車の近畿勢の先頭を務めた寺崎浩平選手が2着に粘り、三谷将太選手が3着。

レース経過

誘導員 : 脇本勇希

 スタート争いを制した古性優作が誘導員を追い、寺崎浩平-古性-南修二-三谷将太-小森貴大の近畿勢が前を固める。単騎勢は太田海也、野田源一、深谷知広、嘉永泰斗の並び。 青板の1センター付近から深谷が嘉永、野田を連れる形で上昇し、2センター手前で寺崎に並び掛けるが、寺崎は深谷の動きを警戒しながら赤板周回のホーム過ぎに突っ張る。突っ張られた深谷は下がり、打鐘では6番手外併走となるが、4コーナーで後退。一旦ペースを落としていた寺崎は、最終ホームを目掛けてペースを上げていき、6番手を取り切った太田が同じタイミングでスパートする。太田は三谷、南のけん制を受けながらも前に迫るが、1センター過ぎに古性の激しいけん制を受けて勢いが鈍る。古性はバック過ぎに再び太田をけん制すると、太田、野田が落車。2センターでは落車を避けた南、三谷が逃げる寺崎を追い掛けて、直線半ばで寺崎をとらえた南がビッグ初制覇。逃げた寺崎が2着。三谷が3着。

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