山田庸が軸になる九州勢

山田庸平

小川勇介
寬仁親王牌に出場する選手が不在とあって、G戦線で活躍している山田庸平の存在はひときわ光る。今年はまだビッグレースで決勝進出はないものの、計8勝をあげているし、G3では2Vを飾っている。8月岐阜着、9月玉野着、同月奈良記念は準決2着で優参を果たしていて、最近の動きも良好だ。自力攻撃の破壊力には素晴らしいものがあるが、何でもそつなくこなすオールラウンダー。阿部将大、伊藤颯馬らとタッグを組めるようなら前を託して勝機を見い出す。昨年はG3の3Vを含み8Vと大ブレイクした阿部だが、今年は一息不足の場所が続いていて、まだ優勝がない。74周年記念を制覇している相性のいい地元バンクで流れを変えるか。前期に落車が続いた影響が尾を引いているのか、伊藤も苦戦を強いられていて、後期はまだ優参がない。だが、共同通信社杯では3日目に1勝、9月奈良記念は一次予選をまくって勝ち星をゲットすると、3日目は逃げ切って2勝目をあげていて、立ち直りの兆しは見せている。対照的に小川勇介、塚本大樹の追い込み型は差し脚快調。小川は8月松戸記念で3着と気を吐くと、その後も同月岐阜、9月佐世保はいずれも準V。チャンスが巡ってくればものにできる状態にある。塚本は8月西武園記念、9月奈良記念と続けて決勝に進出。ただ、10月京王閣記念で落車していて、体調には一抹の不安が残る。

木村皆斗 欠場
先陣を受け持つ木村皆斗を武田豊樹、芦澤大輔が盛り立てる茨城勢も好勝負が期待できる。木村は伸び盛りの新鋭で、機動力には一段と磨きがかかった印象だ。5月岸和田では3連勝でS級初Vを飾ると、F1戦では完全に優参級に定着。直近5場所は優勝こそないものの、準決で4勝をあげている。タイミングよく仕掛けて主導権を握れば、九州勢を沈黙させても不思議ではない。ただ、9月は2場所病欠したので、初日の動きには注目しておきたい。G1で7Vのレジェンド・武田は木村と連係実績が豊富。6月取手記念では一次予選と最終日特選、7月豊橋の準決でワンツーを決めた。9月青森記念の3日目は、根田空の逃げを差し切っていて、勝機はきっちりものにしている。木村次第では久しぶりのVもありそうだ。芦澤も伸びはいい。今期は2班だが、8月前橋、9月川崎はいずれも準V、9月青森記念では2連対を果たしている。
一発があれば中釜章成か。豊かなスピード、鋭い加速力を活かした自力攻撃には威力があり、7月京王閣G3では決勝3着と好走している。近畿の上位陣はライン手薄の不利はあるが、展開がもつれるようだと怖い存在となろう。
51歳の大ベテランながら差し脚に陰りは見られない新田康仁、目標をつかんだときの捌き、差し脚はしっかりしている渡部哲男らは好位置占めると浮上も。