実力互角で大混戦のV争い
阿部将大
伊藤颯馬
優勝候補は5指に余る大混戦だが、ラインの総合力なら伊藤颯馬、阿部将大、塚本大樹とそろった九州勢が最上位だろう。2枚の自力型を擁するのは強味だ。しかも伊藤と阿部の機動力は一級品で、自力攻撃の破壊力は今シリーズで1、2を争う。並びは流動的ながら、年齢の若い伊藤が前で戦うとみるのが自然か。両者は10月別府G3の二次予選、準決で連係したばかりだ。阿部の地元戦とあって、いずれも伊藤がきっちり先手を奪い、乗った阿部が勝ち星を手にしている。ここも伊藤が積極的に攻めれば、阿部に絶好のVチャンスが巡ってくるが、短走路なので伊藤が押し切ってもおかしくない。若手を盛り立てる塚本も今期は差し脚快調。7月青森、8月久留米を連覇すると、同月西武園記念、9月向日町記念in奈良は決勝に進出。10月別府G3は優参成らずも2勝をあげた。目標に困らないここは上位進出が望める。野田源一は常に自分で戦うので、伊藤、阿部とは別線で勝負しよう。持ち味の自在戦が奏功すれば一発怖い。
菅原大也
地元勢では菅原大也、嶋津拓弥らが優勝候補にあげられる。まだS級では優勝経験がない菅原ながら、8月岸和田、9月青森、そして10月函館と今期は月1回のペースで準Vがあり、初Vは時間の問題といった印象だ。機動力を遺憾なく発揮できれば、G3で初Vを達成しても不思議ではない。タッグを組む嶋津は差し脚の伸びがいい。10月当所の初日特選、同月青森の準決では、いずれも道場晃に乗って勝ち星をゲットしている。菅原がレースを支配すれば好勝負に持ち込める。
注目株は第127期生で早期卒業を果たした市田龍生都だ。チャレンジ戦の卒業には、よもやの6場所を要したものの、A級1・2班戦は最短の3場所でクリア。S級初戦の7月別府は1着。予選、準決と好タイムで逃げ切り、S級でも通用する先行力をアピールしたが、決勝で落車のアクシデントに見舞われた。その後は世界選出場があって3カ月実戦を離れたので、レース勘が問題になる。世界選では1㎞TTで自己ベストを更新しているので状態的には仕上がっていそうで、中井太祐にも出番がある。昨年は4Vを達成したのに対し、今年はまだVがないものの、ビッグレースで4勝しており、随所で底力を示している。好展開が訪れれば、首位に躍り出る場面もありうる。
山田諒、西村光太の中部勢も軽視はできない。5Vを飾った昨年に比べると、やや物足りない感もある山田だが、オールスターでG1初勝利をあげると、9月函館では今年初Vをものにしている。仕掛けがツボにはまると一発怖い。西村は9月向日町記念in奈良2着、10月松阪記念を2着、同月青森は準Vと悪くない。
10月玉野でS級初Vを飾った真鍋智寛を、百戦錬磨の渡部哲男が援護する愛媛コンビも侮れない。両者は10月別府G3の一次予選で連係していて、最終バック先制のまくりを出した真鍋を渡部が差して連独占を決めたばかりだ。