村上義弘が引退を語る ~記者会見~

photo-50990
村上義弘
28年の選手生活に悔いなし
photo-50991
引退会見で花束を贈呈した山口幸二氏(写真左)と市田佳寿浩氏
あのレースでファンに納得してもらいたい

 先月の29日に引退の意向を表明していた村上義弘(京都・73期・S1)が、10月5日に都内の日本競輪選手会の本部で引退記者会見を行った。

 壇上に上がった村上は、晴れやかな表情で選手生活にピリオドを打つ理由をこう語った。
 「引退を決意した理由は燃え尽きた。競輪選手として心身ともに完全燃焼できたと思えたからです。競輪選手になって28年間、ひたすらに日本一の競輪選手を目指し頑張ってきました。自分が理想とする日本一の競輪選手には残念ながらなれませんでしたが、自分の歩んできた道に後悔はありません。仲間、友人、家族、そしてなによりも多くのファンのみなさまに愛されて、誰よりも幸せな競輪人生を送れたと思います」と、94年のデビューから28年間に及ぶ選手生活を振り返った。
 655勝目、9月12日の松阪の最終日が、事実上の引退レースとなった。澤田義和とタッグを組んで、主導権を握った金ヶ江勇気の番手を奪取して5月以来の勝ち星を挙げた。ラインの先頭で締めくくった渾身のラストランだった。
 「自分がずっと連に絡めずファンをガッカリさせてたのが、その1つのレースで納得してもらえたらな、納得してもらいたいっていう気持ちもあった。これ以上無様なレースを見せ続けていくのは、良くないんじゃないかなと。負け戦ではありましたけど、村上のレースでさすがだなって思っているところで引けばいのかなって、帰りの車の中で思いました」
 14歳から競輪選手を目指し、2度のグランプリVに、4度の日本選手権優勝。身を削り、全身全霊を競輪に傾けてきた。検車場で見せる険しい表情は、報道陣どころか、同じ選手でさえも寄せつけない雰囲気があった。それも競輪にかける思いからのものだった。村上が壇上で頭を下げると、会場の空気が和んだ。
 「その点に関しては、ここにおられる(マスコミ関係者の)みなさんに本当に、本当にご迷惑をお掛けしました。この場を借りて、すみませんでした(笑)。その緊張感を持ち続けないと、ちょっとでも緩めると戦えなくなる弱さが自分にはあった。その弱さを勝負である以上、表に出してはいけない。それがみなさんに迷惑を掛けてしまったのかもしれない」
 30年以上を競輪一筋に燃やしてきた村上は、「今後のことはまったく白紙です。突然の決断だったので、ゆっくり家族孝行できればなと」と、しばし羽を休める予定のようだ。

竹内祥郎記者

2022年10月5日 15時52分

開催情報

ページトップへ