神山雄一郎が準決進出 ~広島記念~

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神山雄一郎
レース後はいつも通り愛車の手入れに余念がない
これだからやめられない

 広島競輪場で開催されている開設70周年記念「ひろしまピースカップ(G3)」は、12月16日に2日目が行われ、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われた。S級S班の松浦悠士もスッキリとはしないながらも勝ち星を挙げて、池田良との地元ワンツーで人気に応えた。今年は記念シリーズでなかなか結果が残せていなかった神山雄一郎(栃木・61期)は、目標の小林泰正が7着に沈んだが直線で伸びて2着。好配当を演出して、準決に進んだ。

 「最近は僕が着に入れば、まあまあの配当だし。僕を支持してくれているファンもいるんでね」
 前回の小倉2日目で勝ち星を挙げて、88年のデビューから積み上げた通算勝利数を898まで伸ばした。16回のG1制覇、言わずと知れた輪界の“リビングレジェンド”。走れば勝つのが当たり前という往年の時を忘れるような、まるで新人のような笑みで二次予選突破に破顔した。
 「うれしいですよ、昔はそう(1着が当たり前)だったかもしれないけど。引退しないでやっていると、こういう着が取れる。上のレースで走れる喜びはひとしお。だから、やめられない(笑)」
 記念の優勝回数は数えること99回。ここ広島でも3日制を含めて4度の記念Vがある。それだけにバンクのツボも心得たものだ。
 「広島はイエローラインの50センチくらいのところが伸びるんで、毎回そこを狙っている。あの辺りにいられるようにと思ってました」
 二次予選は苦しい展開を伸びて2着。自ら活路を開いた。その神山の胸の内には常にファンがいる。
 「自分を表現できる場所ですからね。負け戦であっても、あとは自分の気持ち。お客さんに失礼のないように」
 準決、決勝を連勝なら記念100Vに通算900勝のダブルの偉業を達成することになるが、あくまで冷静にこう言う。
 「それができたらとっくに900勝ができている。勝ち上がった時点で1着は厳しいかもしれないけど、僕は精いっぱいやるだけ。やるからには突き詰めてやらないと適当になってくる。そうならないように。小嶋(敬二)の800勝は自力でやってるし、相当刺激になっている。競輪は一人での戦いじゃない。ラインもある。それで1着にこられる時もある。勝ち上がってうれしくて、これだから引退できない」
 来期はS1にカムバック。神山の辞書に“引退”という言葉はないのかもしれない。

竹内祥郎記者

2022年12月16日 19時40分

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