盤石の南関連係を実らせる
簗田一輝
前には徹底先行の野口裕史、後ろにはヨコの厳しい東龍之介。南関ラインの中核を任された簗田一輝は、勝って真っ先にラインへの感謝を口にした。
「野口さんと、東さんのおかげです。もう、(ラインとして)各々の仕事をするだけだと思ってました。前と、後ろがしっかりしているので、自分のことだけを考えることができました」
赤板で、中団からのイン切りを狙った中井俊亮を、谷口遼平が突っ張る。ペースが緩んだところで、野口が迷いなく叩いて出る。合わせて踏んだ谷口だったが、結局は中団に下げて、南関勢のペース。位置を狙われる覚悟を決めていた簗田だったが、絶好のポジションを、無風で回れることとなった。
「(飛び付かれるかどうかは)レースを走ってみないと分からなかったけど、頭には入れていました。東さんに、番手を任せてもらった以上は、絡まれても絶対に勝負しないといけないと思ってました。でも、野口さんの駆け方が上手で、(飛び付かれないような)そういうふうに駆けてくれたと思います」
野口の先行を、無駄にするわけにはいかない。この展開ならば、ラインから優勝者を出すことは最低条件だった。野口と間合いを取って、最終2センターから一気踏み。別線を横に並ばせることもなく、直線で抜け出して勝ち切った。
「4番手に、すんなり谷口さんがいたことは分かってました。四日市は、直線が長いですし、(踏むのが)遅くなると外を伸びてきてしまう。僕から人気になっていたのもあるし、初日は前を庇い過ぎてしまったのもあった。ラインで、東さんを連れ込むことを考えて、早めに踏み込みました」
23年6月向日町以来2度目のG3優勝。簗田にとって23年といえば、競輪祭で決勝に乗った年だ。そこからのブレイクが期待されたが、度重なる落車によって、G1戦線から遠のいてしまった。ただ、この優勝が本格的な復調のきっかけになることは間違いない。
「(23年の)競輪祭の前も、落車をずっとしていなかった。自分にとって、ケガをしていないことが好調の要因だと思っています。まずはケガをしないように。野口さん、東さんとラインとして並べて、南関として強くなれたと思います」
今度こそ、G1の舞台に定着し、南関の一員として、ラインの力になる。苦しんだ時期を乗り越えて、復活の道を歩み始めた。
南関ライン3番手の東龍之介が2着。直線は、内から当たって来た上田国広との踏み合いを意地で制した。
「(前の2人に)連れていってもらって、脚も気持ち的にも余裕があった。最後は内いくか、外いくかの判断で外にいって、上田さんが入って来たのにも対処できた。みんながチャンスある形を野口さんが作ってくれた。昨日(3日目に)セッティングをいじって、乗る場所とかも楽な位置を見つけられた。今回の感触を継続して目の前のレースを頑張りたい」
上田国広は、谷口に乗って内のコースを選択。3着には入ったものの、地元Vの夢は果たせなかった。
「谷口君の判断で、中井君を突っ張るのか、出させて一発にかけるかって感じでしたね。脚を使って中団を取ってくれた。(谷口と自分の)どっちかが優勝と思っていたけど、谷口君も河村(雅章)君がきたから、出にくい所で仕掛けた感じになりましたね。もう少しサポートできれば良かったんですけど。自分も最短コースではなかった。東君に当たっちゃいましたからね。ただ、最短でも2着が精一杯だったかも。2人ともホームバンクだっただけに悔しいですね。気合は入っていたので。悔しいが大きいので、いつか晴らしたい」