番手有利に2年ぶりの記念V
守澤太志
二度あることは三度ある。71周年、73周年大会の覇者でもある守澤太志が三度目の『オランダ王国友好杯』制覇を達成した。
「本当に毎日、本線で、毎日4コーナーをハコ(先行の番手)で回ってきて。前で頑張ってくれた選手のおかげです」
開口一番、感謝とともに今年も守澤の笑顔が弾けた。 「(良い頃に比べたら)脚力も落ちていますし、決勝に乗ることも難しくなってきているんですけど。ラインに感謝ですね。F1でも優勝できないのに、まさかこんなところで優勝できるなんて。響平に感謝です。(別府記念は3回出場してすべて優勝しているが)あと20回ぐらい呼んで欲しいです(笑)」
号砲とともに地元の阿部将大が真っ先に飛び出したが、道中で守澤が九州勢の前に追い上げる形となって新山響平を迎え入れる。S班の新山が代名詞とも言える突っ張り先行で別線を完封してみせた。
「やっぱりあれが(新山)響平のスタイルですし、スタイル通りかなって。今日(決勝)に関して言えば、内をしゃくってくる選手も少なかったですし、(最終)3コーナーで持っていっても大丈夫かなって思っていたんで。止まってくれて良かったです」
何度も対戦してきている相手選手のクセは把握済み。ライン2車であっても別線に隙を見せることなく、後方からまくってきた寺崎浩平と、真後ろの位置からまくってきた阿部を最小限の動きでスピードを鈍らせると、直線で外を踏み込んできた村田雅一の位置も把握しながらシャープに抜け出した。
「まだ納得できる、自信を持てるデキではないんですけど。優勝できたことはいいきっかけにもなりますし、モチベーションにもつながってくると思うので。後半戦に向けて頑張っていきたい。こういう(決勝の)舞台で響平とワンツーが決まったことも良かったと思うので」
次走は岸和田で行われる高松宮記念杯(G1)。前記の23年12月の別府記念以来となる5度目のG3優勝を手にしたが、ここでは決して満足はしない。勢いそのままに昨年のオールスター以来となるG1決勝を目指して岸和田に乗り込む。
正攻法の構えからレースを運べた新山響平は赤板過ぎに深谷知広を突っ張ると、別線の動きを確認しながらペースをコントロール。最終ホーム過ぎまでうまく流しつつ、最終1センターから全開スパート。別線のまくりをすべて封じて2着に粘り込んだ。
「前に入れたので、あの位置だと一回突っ張ってみてでしたね。あとはほかのラインがどう来るかでしたけど、みんな位置にこだわってくれたし、落ち着いてペースで踏めたと思います。最後は抜かれましたけど、自分の競走はできたのかなと。(今シリーズは)全部、展開にこだわって走れたかなと思いますね。明日、一日休んで、(10日以降は)調整はせずに目いっぱい追い込んで宮杯(高松宮記念杯)を迎えたいですね」
村田雅一は目標の寺崎が最終3コーナーで外に浮かされる苦しい展開となってしまったが、コースを探して強襲したものの、記念初制覇までは届かず3着まで。一瞬の判断の遅れが致命的となってしまった。
「寺崎君は自分のタイミングではなかったと思うし、いつものスピードではなかったですね。(最終)3コーナーで一回、内に入りかけたんですけど、寺崎君もまだ踏んでいたので躊躇してしまって。後ろに村上(博幸)さんもつけていたし、もっとシビアにいった方が良かったですね。初めて村上さんの前を回らせてもらいましたけど自分はまだまだですね」