初手から好位確保で貫禄相撲
郡司浩平
一次予選敗退に終わった共同通信社杯の悪夢を振り払うかのような、力強い走りでの完勝。郡司浩平が、今年6度目の記念Vをゲットした。
スタートを取ったのは菊池岳仁。郡司は、3番手のポジショニングを確保して、まずは別線の出方をうかがった。河端朋之を、菊池が赤板過ぎに突っ張ると、新山響平は5番手の位置にこだわって、すかさずの仕掛けはない。そのまま菊池が先行し、河端は8番手に戻る。意外なほどに単調なレースとなり、労せずして絶好の3番手を取った郡司であったが、油断は一切なかった。最大のライバルである新山の仕掛けに細心の注意を払いつつ、勝機を手繰り寄せた。
「スタートはとりあえず出てみて、菊池が前を取りそうだった。新山ラインに(前を)取られないように、自分としては良い位置が取れたと思います。菊池も前を取った意味があるでしょうし、さすがに河端さんは出させないだろうと。自分は3番手で遅れないようにと意識してました。(河端が)突っ張られたあと、新山がすかさず来るかなと思って、ワンテンポ見た。新山が来なかった時点で、来たら合わせられる準備ができていました。ホームぐらいでもう1回来るかなと思って、間合いを取ってタテに踏む準備ができていました」
空けた車間を詰めた郡司は、勢いをころすことなく最終2コーナーから先まくり。あっという間に菊池をねじ伏せて、バックは先頭で通過する。番手から追い込む南修二や、新山の強襲もこらえて、押し切っての優勝だった。
「(新山が)来なかったんで、2コーナーの自分のタイミングで行きました。(荒井が車間を切る)そのタイミングで真後ろから行けましたね。(菊池が)3車ラインでしたら行き切れるか微妙だったけど、行き切れたので最後も踏み切れました」
一次予選敗退に終わった共同通信社杯の2日目から、明らかにロングスパートが増えていた。それは、自ら手放した流れを、もう一度引き寄せるため。全力を出し切っての力勝負に徹していたことが、この優勝につながった。
「昨日(3日目)も、一昨日も、ワンテンポ、ツーテンポ早めに仕掛けられていた中で、今日は短い距離(の仕掛け)だったので、良い感覚で踏めました。一昨日、昨日のレースが生きているなと思いました。(共同通信社杯は初日敗退で)自分で流れを崩してしまった。その後の(共同通信社杯の)3日間と、今回の4日間を自力で戦って、立て直せたと思う」
取手記念以来、通算27回目のG3優勝。この優勝で、今年の獲得賞金額は1億円を突破した。今年も、グランプリ出場はほぼ現実的なものとなった。
「もう少し良くなる感覚があるし、その感覚を取り戻しながら上を目指していきたい。賞金というよりも、G1が2つ残っているので、次のG1を目標に。地区プロもあるんですけど、日々の練習を怠らずに上を目指していきたいです」
手放した流れを、自らの力でもう一度引き寄せた。年間最多勝も狙えるほどに、今年の郡司は強い。残すところあと2つとなったG1タイトルを、本気で獲りにいく。
2度目の地元記念制覇を狙った新山響平は、まくり追い込みにかけたが2着まで。
「前が取れれば前からでしたけど、取れた位置から始めようと。ギリギリまで(仕掛けを)迷った。打鐘の位置でどうしようか決めていた。河端さんが後ろで、内からくることは警戒しなくて良いですし、(河端は)1回、脚を使っているのですかさずくることもない。なので、一発狙おうと思っていた。赤板から良いペースで周回して、郡司さんが前にいて、変な所では仕掛けられないけど、狙い過ぎた。ホームで行って、郡司さんを乗り越えていれば、ラインで決着できたかな。弱気じゃないけど、狙い過ぎた。ラインがしっかりしていて、3車でしたし、それをフルに生かした方がよかった。初手の位置で攻め方を変えようとは思っていたけど。悪く言えば、消極的な走りでした。ゴールした瞬間に届いていないなと。いつも踏み込みが遅くて届かなかったり、早くてスライスしてしまうが、落ち着いて力まずにはいけたんですけど。間違いは仕掛け所でした。自分のやりたい走りは準決勝まではできた。決勝も狙いにいって集中力も欠かなかったですし。今後に生かして走りたい」」
郡司との即席ラインを選択した南修二が3着。郡司との連係を外すことはなかったが、伸びを欠いて外を新山に行かれた。
「(郡司との連係を選択したのは)郡司君なので。いつも見ているので。スタートは遅れてしまった。全て(郡司に)やってもらった感じ。いつも連結を外さないことを意識している。最後は他の選手との脚力差が出た感じですね。自分の感触は悪くないけど、現状の脚力差が出た。郡司君が強かった。力負け。展開は良かった。練習し直すしかない。次までにしっかりと練習する」