吉田拓矢が第79回日本選手権競輪を制す ~名古屋競輪場~


眞杉匠のまくりに乗ってシャープに抜け出す
5月4日に名古屋競輪場を舞台に行われた第79回日本選手権競輪の決勝戦は吉田拓矢(茨城・107期)が眞杉匠の仕掛けに乗って直線で抜け出し優勝を手にした。2021年に行われた競輪祭の優勝以来となる2度目のG1制覇を達成した。審議の末に準優勝は眞杉匠となり、直線でコースを探した古性優作が3着に突っ込んだ。
【レース経過】
号砲とともに菅田壱道と阿部力也が飛び出すと、新山響平を迎え入れて北日本ラインが正攻法に構える。単騎の古性優作が4番手に陣を取り、眞杉匠-吉田拓矢が5、6番手の位置で周回を重ねる。単騎の浅井康太は関東勢の後ろからレースを進め、後方8番手となっていた松井宏佑は青板周回の2コーナー付近から上昇していき、前団の様子を窺う。気配を察知した新山は誘導員との車間を空けながら、松井を突っ張ってペースをコントロール。初手と同じ隊列に戻ったところで打鐘を迎える。新山は落ち着いてピッチを刻みながら、最終ホーム手前の4コーナーから下りを使って一気にペースアップ。5番手の位置で車間を空けていた眞杉が最終バック付近から車を外に持ち出して前団に襲いかかる。最終4コーナーで眞杉と接触した菅田が落車のアクシデントに見舞われたが、冷静に避けた吉田が直線で鋭く抜け出した。
【吉田拓矢 優勝インタビュー】
「本当にまだ、まさか、自分が獲れると思わなかった。今回は仲間のおかげで獲れたタイトルなので、今まで頑張ってきてよかった。北日本が前を取ると思ったんで中団が取れたらいいねと。多分(新山が)突っ張るだろうと。あとは南関が削ってくるのを対処して、あとは眞杉が届くところで、自分がもつと思ったところで行ってくれればと思っていました。眞杉が車間を空けていたので、これは一気にいくんだろうなと思って。そこだけ離れないように集中して。かかりがすごかったんで、そんなにみんな横に動く雰囲気でもなかったんで、とりあえず眞杉が越えてくれたんで、あとは、抜けるか、どうかだったんですけど。(最後の直線は)余裕というか、余力はあったんで、抜けました。眞杉が失格だったら、また、オールスターの時みたいな感じになっちゃうと思って、それだけは嫌だと思って。自分の確定より、眞杉が失格してないかが、気になりました。(競輪祭を)獲ってから、あんまいいことの方が少なかったんで、それでも、腐らずにやってきたんで、ちゃんと報われた感じはします。(ここまで頑張ってこれたのは)家族のためにも、落ち込んでられないと思っていたんで。子どもが尊敬するじゃないけど。誇りに思ってくれる父親でいたいと思ったんで。腐ってられないなと思って頑張りました。(眞杉とは)本当に、上下関係がないような。僕もとっつきやすいし、向こうも何でも話してくれるし、そういう間柄なんで、いい関係性だと思います。今回、獲らせてもらったんで、こういう前後で走れるように、僕がもっと強くならないといけないと思ったんで。自信をもって眞杉の前を回れるようにならないといけないなと。(GP出場権を獲得したが)まさかって感じですけど、さらに気を引き締めて」