自転車競技の経験がほとんどないなかで、その能力が買われ昨年12月に養成所の候補生でありながら、ナショナルチームに加入。競輪選手としては中野慎詞とともに早期卒業制度で養成所を旅立ち、今年1月にプロデビューを果たした。太田海也にとっては、すべてが初めての経験であり、目まぐるしく時が過ぎていったに違いない。
「(今年は)まだ大変の途中ですね。競技がうまくいくかなと思ったら、競輪がうまくいかなかったりで。体のコントロールっていうより、頭のコントロールが難しかった。でも、すごくいい経験をさせてもらっています」
ナショナルチームの活動で出走の機会は限られてはいるが、8月には3場所連続の完全Vで特進。S級にステージを移した。S級2場所目となる11月の取手では➊着で優勝。赤板からの壮絶なモガき合いを演じながらも2着に踏ん張った準決の内容からしたら、V奪取に驚きはなかった。当然ながら続く初めてのグレード戦、高松記念でも優勝の期待が膨らんだが、一次予選で落車に見舞われた。
「昨日(初日)落車をしていたけど、体の感じとしてはまったく問題ないです。(初日から)自転車と体の相性が良くない。セッティングがうまく出せてないですね」
途中欠場の選択肢もあっただろうが、最終日までシリーズを走り切って2勝をマーク。初めての9車立て、手負いの2日目以降であっても、そのポテンシャルは示した。
「(初めての4日制は)疲れはないんですけど長さを感じました。自分の課題だった踏み出しの部分が改善できていると思う。それで結果的に3人で出切れたり、ラインで決められたのかなっていうのはあります。もっと数少ない実戦の中で磨いていければと思います」
24年パリ五輪出場のためのポイント獲りで、競技では来年が勝負の年でもある。それだけに競輪でファンへの“お披露目”の回数は減ってくるだろう。まずは次のグランプリシリーズで衝撃を残して、22年のラストを締めくくりたい。
2022年12月12日 更新